2018年06月18日

山開き

山開きとは、その年に初めて登山が許されることです。
初日には安全祈願の神事や山開きの宣言が行われ、夏山登山のシーズンが始まります。
山開きの日にちは山によって異なりますが、3月末から7月初旬に行われています。

pixta_7824450_S夏富士.jpg



■山開きの起源

日本は国土の約7割が山地で、山は身近な存在です。自然の恵みをもたらしてくれる山々に人々は感謝し、山に対する畏怖、畏敬の思いを抱き、山を神様がいる神聖な場所であると考え、また山そのものを神として信仰の対象にしてきました。神仏を祀る霊山は、修業者か徳の高い僧侶などしか入山を許されず、一般の人は入ってはいけない「聖地」とされていました。
しかし、江戸時代中期になると、一般の人々も山や山に祀られている神様を拝むため、登山をしたいと思うようになり、期間を定めて山に登ることが許されるようになりました。その頃から登山開始を祝い、安全を祈願する儀式として山開きが行われるようになりました。宗教儀式としての山開きは、現在も日本各地の霊山で行われています。



■世界遺産・富士山の山開き

静岡県富士宮市の富士山本宮浅間神社で行われる富士山の山開きは有名ですが、2013年に富士山が世界遺産となって登山者が急増し、山開きにもその影響が出ています。

pixta_7248839_M富士山浅間神社.jpg


富士山の山開きは、これまでは7月1日(旧暦では6月1日)、期間は8月末までの2ヶ月間でしたが、2014年の山開きは7月1日と7月10日の2パターンになりました。
静岡県側の富士宮口、須走口のルートは7月10日が山開きで、その分終わりも10日延びて9月10日になりました。そして、山梨県側(吉田口)のルートは7月1日が山開きで、期間は2週間延びて9月14日までになりました。
7月に入っても富士山の登山道にはまだ雪が残っているところも多く、多くの人が安全に登山できるように整備の日にちを確保したことや、登山期間を延長して、混雑を少しでも緩和しようというのが理由のようです。
富士山本宮浅間神社の「お山開き」は、7月10日に行われ、さまざまな式典や神事の他、交流会などのイベントも行われるそうです。



■身近でできる「富士詣」

江戸時代、富士山を信仰の対象とする「富士講」が流行し、富士山に登る「富士詣」をしていました。しかし日本一高い霊峰である富士山に登ることは簡単ではありません。また、女性は登山することも禁じられていました。そこで、富士講の信者たちは、富士山に模して富士塚を築き、富士山登山の代わりとしました。富士塚に登ると、実際の富士山に登ることと同じご利益があるとされていたのです。

pixta_7981173_S千駄ヶ谷富士塚.jpg


富士塚は関東一円に数多く造られ、今でもたくさん残っています。例えば、江古田、豊島長崎、下谷坂本、木曽呂の富士塚は重要有形民俗文化財に指定されています。浅草の富士浅間神社や駒込の富士神社にある富士塚なども有名です。現在でも山開きの時期には、例大祭が行われ、参道には植木市や縁日などが立ちます。
近くに富士塚があったら、昔の人と同じように富士山に登ったつもりで登ってみるのもいいですね。

ページトップへ