日々の便り

2015年09月22日

秋の彼岸に怪しく咲く「彼岸花」の秘密

9月23日は二十四節気の「秋分」。昼夜の長さがほぼ同じになる日で、この日を境に日が短くなり、秋の夜長に向かいます。読書の秋や芸術の秋、音楽の秋など、趣味に没頭するのにいシーズンですね。また秋分の日は、雑節の「彼岸」の中日でもあり「祖先を敬い、亡くなった人をしのぶ日」として国民の祝日になっています。秋の彼岸は、春の彼岸に対して「後の彼岸」「秋彼岸」とも呼ばれます。
また、七十二候では「雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)」になります。雷が鳴らなくなる頃という意味で、春分に始まり夏の間鳴り響いた雷も、鳴りをひそめます。

pixta_13856514_S.jpg

秋の彼岸の頃に咲く花といえば「彼岸花」。葉のない茎がすーっと伸びた先にまるで花火のような真っ赤な花が咲きます。別名は「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」で、サンスクリット語で「天界に咲く花」を意味します。おめでたい事が起こる兆しに赤い花が天から降ってくる、という仏教の経典からついた名前です。

また、葉のない茎の先に花が付く彼岸花は、ふつうの植物とはかなり違う成長をします。秋の彼岸が近づく頃、いきなり茎が伸びてきて鮮やかな花を咲かせ、そして一週間ほどして花が終わり茎も枯れてしまうと、今度は葉が伸びてきて緑のまま冬越しをします。春にかけて球根に栄養をため、夏が近づくと葉は枯れてしまい休眠期に入り、やがて秋雨の後、彼岸の頃にまた一気に花を咲かせます。
つまり、花のある時に葉はなく、葉のある時に花はない、そんな不思議な植物なのです。このような特徴から、「葉見ず花見ず(はみずはなみず)」と呼ばれています。
球根には毒がありますが、昔は水にさらして毒を抜き、万一の時の非常食にもなったそうです。彼岸花には、鮮やかな赤だけでなく白や黄色いものもありますが、いずれも根のところに毒をもっているので注意してください。

関東近郊の彼岸花の名所といえば埼玉県日高市の巾着田。雑木林の中に500万本以上の彼岸花が群生し、深紅に染まった様子は圧巻で、今がちょうど見ごろとのことです。お出かけになってみてはいかがでしょうか。

【季節のめぐりと暦】二十四節気
https://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/nijyushisekki/
【季節のめぐりと暦】七十二候
https://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/
【季節のめぐりと暦】雑節/彼岸
https://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/zassetsu/higan/
【暮らしの作法】お墓参りの作法
https://www.i-nekko.jp/saho/omairi/saho/
【食の歳時記・旬の味】おはぎ・ぼたもち
https://www.i-nekko.jp/mikaku/mikaku_aki/2018-052711.html

ページトップへ