日々の便り

2016年10月17日

七十二候「蟋蟀在戸」。商売繁盛を願う「恵比須講」とべったら市

10月18日からは七十二候の「蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)」。秋の虫が戸口で鳴く頃という意味です。今は「蟋蟀」を「こおろぎ」と読みますが、昔は「こおろぎ」のことを「きりぎりす」と呼びました。「りーりーりー」と鳴く虫の声に、秋の深まりを感じます。

10月は諸国の神様たちが出雲地方に出かける時期。この間、家を守ってくれる神様が恵比須様です。縁起の良い神様を7人集めたユニット「七福神」の中の一人で、釣竿と鯛を抱えた恰幅の良い姿をしており、福々しい笑顔が素敵です。商売の神様でもあり、関西では気軽に「えべっさん」と呼ばれて人気があります。

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その恵比須様を祀るのが「恵比須講」で、旧暦10月20日、11月20日、1月10日など、地域によって様々な日取りで行われます。
主に商家が商売繁盛を願って、恵比須様を祀りました。「講」とは集まって寄り合いをすること。江戸時代の商家では、家のお金を一升瓶に入れ、尾頭付きの鯛を供えて商売繁盛を祈りました。呉服屋が一番派手で、招待客に酒を振る舞い、店先にみかんやお金をまいたともいわれます。
えびす神社の総本社である西宮神社(兵庫)では、毎年1月10日に「十日夷」が行われ、開門と同時に一番福を目指して走り参りをする「開門神事福男選び」や、繁盛をもたらす縁起物の笹の飾り物を求める人で賑わいます。

東京日本橋付近では10月19日と20日(もとは旧暦)の2日間、宝田恵比寿神社を中心に「日本橋恵比寿講べったら市」が開催されます。江戸時代中期に10月20日の恵比須講のために、前日から魚や野菜、神棚などの市が立ったことが始まりといわれ、大根を甘く麹漬けにした名物「べったら漬」を売る露店がたくさん立ち並び、威勢の良い売り声が響きます。「べったら、べったら。買わないで素通りすると着物につくよ」と、人ごみのなかで振り回したり、麹のついた手で袖を引いたりしたため、この呼び声から「べったら漬け」と呼ぶようになったといわれています。

【季節のめぐりと暦】七十二候
http://i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/
【暮らしのまつり・遊び】恵比須講
http://i-nekko.jp/matsuri_asobi/matsuri_aki/ebisuko/

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