日々の便り

2019年05月20日

草木が育つ「小満」。「蚕起食桑」の蚕ってどんな生き物?

5月20日は「小満」。二十四節気のひとつで、陽気が良くなり、草木が成長して茂り、動物や植物にも活気があふれる頃。秋に蒔いた麦の穂も実り、万物が満ちはじめるというところから小満となりました。

農家では田植えの準備が始まる時期で、西日本では梅雨のように天候がぐずつく「走り梅雨」が見られます。梅雨の走りともいい、あけると陽気が戻り、その後本格的な梅雨になります。沖縄には次の二十四節気の「芒種」と合わせて「小満芒種(スーマンボース―)」ということばがあり、梅雨を意味します。

さて、七十二候では「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」に入ります。蚕の繭から絹をとるため、昔から人々の暮らしを支える重要な生き物として、蚕は大切に育てられてきました。その蚕が桑の葉を盛んに食べだす頃。ひと月ほどで、白い糸を吐きながら繭を作り始めます。
一昔前までは、女性たちがその働き手となり、日本全国で盛んに行われてきた養蚕ですが、今は蚕を見たことがないという人も多いでしょう。

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皇室では、産業振興や古来の品種保存のため歴代皇后が養蚕を行い、貴重な品種「小石丸」が飼われています。小石丸は奈良時代から飼育されていた品種で、極細で繊細でありながら強度があり、艶やかな光沢の上質な糸を産出する品種です。しかし、産出量は少なく飼育が難しいので、絶滅の危機に陥ったこともありましたが、正倉院の古代裂復元の折には、この小石丸の繭が宮中より提供され大いに役立ちました。
古来、人の暮らしと深くかかわってきた蚕とは、どんな生き物なのでしょう。また、養蚕にまつわる風習やことばもご紹介します。

【暮らしの中の歳時記】養蚕の豆知識
https://www.i-nekko.jp/kurashi/2018-060316.html
【季節のめぐりと暦】二十四節気
https://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/nijyushisekki/
【季節のめぐりと暦】七十二候
https://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/

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