日々の便り

2020年11月30日

一年を振り返る「師走」。永遠の象徴「橘」が色づく頃

12月の和風月名は「師走」。子どもの頃は「先生も走るくらい忙しい時期」だから「師走」というのだと思っていましたが、実はこの「師」は先生ではなく「僧侶」のことでした。昔は12月になるとどの家もお坊様を迎えてお経を読んでもらったため、僧侶が忙しく東奔西走するので「師馳す(しはす)」となり、それが変化して「師走」になったということです。

この他にも、年が果てるという意味の「年果つ(としはつ)」が変化したという説、四季が果てる月を意味する「四極(しはつ)」が変化したという説など諸説ありますが、どれも一年が終わることを感じさせる言葉です。

pixta_18009746_S.jpg

また、12月2日から七十二候では「橘始黄(たちばなはじめてきばむ)」になります。橘の実が黄色く色づき始める頃です。橘は古くから自生している日本固有の柑橘類です。ミカン科の植物ですが、昔は柑橘類の総称として様々なミカン類を合わせて「橘」と呼んでいたようです。

橘は葉が枯れることのない常緑樹で、永遠の象徴とされ、その実は「不老不死」の実として「日本書記」にも登場しています。平安京の頃から京都御所紫宸殿(ししんでん)の南庭に植えられ、「右近の橘」と称されるなど古くから珍重されてきました。その悠久性、永遠性が文化の永久性に通じることから、文化勲章のデザインに採用されたといわれています。

新型コロナの流行は、まだまだ予断を許しません。例年のような楽しい集いや祭事を控えた年末になるかもしれませんが、寒くなり、空気も乾燥する季節です。体調には十分に気を付けて頑張りましょう!

【季節のめぐりと暦】和風月名
https://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/zassetsu/wafuugetumei/
【季節のめぐりと暦】七十二候
https://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/

ページトップへ