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2017年08月04日

涼をとる扇子

暑さ厳しい夏、冷房の効いた部屋から出たくないと思ってしまいますね。冷房のない昔は、涼をとるための小物類が使われていました。扇子や団扇(うちわ)、日傘など夏の風情を感じさせる小物類は今も大活躍しています。一般的な涼をとるための扇子を「夏扇子」とか「持扇」などと呼びます。一年中使えますが、やはり夏が一番の出番。涼やかな夏の風物詩として優雅に涼をとってみませんか。

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■扇子の歴史

扇子の起源は古く、平安時代までさかのぼります。その頃の扇は「檜扇」と呼ばれる薄い檜板を綴ったもので、細長い木の板に文字を書いたものを綴じた「木簡」をルーツとし、貴族の身分をあらわすものだったといわれます。その後、竹と紙でできた「紙扇」や絹を張った「絹扇」などが作られるようになり、現在の形になっていきました。能や狂言、舞踏などに用いられるもの、祝儀用に用いられるもの、茶席用や飾り扇子など用途も多彩です。

宮中から発展した背景もあり、京都や滋賀で作られる「京扇子」は扇子の主流です。京友禅をもとにした雅やかなもので、竹骨を30本程度、多いものでは100本近く使います。歴史があるだけに、多くの職人が数々の工程を分業でまかなっています。
一方、江戸では粋でさっぱりとした「江戸扇子」が作られました。竹骨は15本~18本で折り幅が広く、凛とした印象です。閉じる時にパチッと音がするところも粋なもの。ほとんど全ての工程を1人で行うので、職人の数が少なく、貴重な伝統文化になっています。


■扇子の上手な使い方

涼をとるための扇子は「夏扇子」とか「持扇」などと呼ばれ、女性用と男性用があり、女性用は男性用よりも一回り小さいサイズで、軽くなっています。
昔は伝統的な絵柄が主流でしたが、近頃はモダンなデザインやかわいらしい絵柄の扇子も増えて、お洒落なアイテムのひとつになっています。ただ、バタバタと扇いでしまっては、お洒落な感じもかわいらしさも台無しです。扇子を使うときのたしなみを知って優雅に涼をとりましょう。

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1)扇ぐ速さはゆっくり微風で
一刻も早く涼みたいからといって、バタバタとせわしなく扇ぐのは、見た目にも暑苦しいもの。そばにいる人に不快感を与えることもあります。強い風を間近に受けても気持ちが良いわけではなく、適度な微風のほうが心地良いものです。また、浴衣などの時は顔を仰ぐより、袂(たもと)から風を送るようにしたほうが浴衣の中を風が通り涼しく感じられます。女性はヘアスタイルも崩れないので一石二鳥です。

2)絵柄やデザインにこだわる
扇子を使っていると、本人が思っている以上に目立ちます。絵柄やデザインにもこだわって、開いた瞬間に「あら、素敵ね」と思わせる扇子を使いたいもの。それこそセンスが光る瞬間です。

3)開閉にも気遣いを
雑な扱いではがさつな人に見えます。お気に入りの扇子を長く使うためにも、きちんとした扱いをしましょう。
開けるときは、左手を下から添えて右手の親指で骨をずらすように押して開き、少し開いたら両手で扇子をゆっくりと広げていきます。閉じるときは両手で持って、右手で奥から手繰り寄せるように、扇子の折りにそって丁寧に閉じましょう。これだけでかなりしとやかに見えるはず。人の扇子をお借りするときは特に丁寧に扱うようにしましょう。

扇子を持ち歩く際には、専用の扇子袋に入れるか、扇子袋がない場合は、ハンカチや手ぬぐいなどに包んでおくと安心です。
使わないときは「責(せめ)」と呼ばれる和紙の帯紙などをはめておくと型崩れが防げます。


■扇子の楽しみ方

さらに優雅な扇子の使い方として、香りを楽しむという使い方があります。
白檀や桧を使ったものは、扇ぐたびにほのかな香りが漂ってきます。こうした香りのある木・香木を使った扇子は少々値が張りますが、香りが何年も続く本格的アイテムです。

もっと手軽に楽しむなら手持ちの扇子をお香と一緒に収納し、香りを移しても良いでしょう。お気に入りの香水やアロマオイルの香りを移すのも良いですね。直接かけると扇子を傷めることもあるので、香りをつけたハンカチなどで包んで香りを移すと良いでしょう。ほのかに香るくらいが上品です。

お気に入りの扇子をバッグに忍ばせておき、涼しげな顔で優雅に使う夏美人になりましょう。

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