2018年10月10日

菊の名所と菊花展

菊は、桜と並んで日本を代表する花です。薬草として中国から日本に伝えられると上流階級の人々の間で人気となり、平安時代には「菊の節供」ともいわれる「重陽の節供」が宮中で行われ、菊を愛でながら、華やかな「菊花の宴」が行われていました。邪気を払う力があるとされた菊は、古来より日本人に親しまれ、発展してきました。
切り花は一年中出回っていますが、秋には丹精を込めた和菊を鑑賞できる「菊祭り」「菊花展」などが全国で開催されます。

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■和菊の特徴と種類

中国伝来の菊は日本で観賞用に改良を重ねられ、発展したのが「和菊」です。花の大きさによって「大菊」「中菊」「小菊」などに分類され、鑑賞のための仕立て方にも工夫があります。

大菊:花の直径は20cm位にもなります。周りの余分なつぼみを摘み取り、一輪だけを大きく育てます。花の形状から「厚物」「管物」「広物」などがあり、「三本仕立て」「だるま作り」「福助作り」などに用いられます。平らに咲く広物の「一文字」は、花びらの数が菊の御紋と同じ16枚が理想とされているそうです。

中菊:花は9~18cmほどで、「仏花」や切り花として一般に使われます。江戸菊、嵯峨菊、肥後菊などの「古典菊」もこの分類に入ります。

小菊:花が5cm弱。室内の飾りや、菊人形などに用いられます。


■和菊の仕立て方

菊花展などを見るなら、ぜひ菊の仕立て方も押さえておきましょう。ただ美しいというだけではなく、その高度な栽培技術に感動を覚えるでしょう。

・大菊の仕立て
三本仕立て:大菊の最も基本的な仕立て方です。1本の苗を摘芯して3本の枝を伸ばし、3つの花を咲かせたもの。
だるま作り:三本仕立ての小型版で、草丈は40~60㎝ほど。小さく丸いフォルムからだるまの名前がつきました。
福助作り:1本仕立てで、だるま作りよりさらに小さく草丈を40㎝以内に仕立てたもの。花は大輪なので頭でっかちになり、福助のような姿になることからこの名前がつきました。
千輪作り:1本の苗を何回も摘芯をくり返して枝数を増やし、1株で600輪もの花を咲かせる作り方。ドーム状に隙間なく整然と花が並ぶ姿は圧巻です。

・小菊の仕立て
懸崖(けんがい)作り:盆栽樹形のひとつで、摘芯をくり返して木の先端が鉢より下に垂れ下がった形に仕立てます。
菊人形:歴史的シーンや人気ドラマの1シーンなどを菊の花の衣装を着た人形で表現するもの。シーンに合わせて建てこんだ人形の胴体にあたる枠組みにヒノキの葉を貼り、根のついた菊の花を止めていき、色や柄を表します。


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■各地の菊花展・菊まつり

観賞菊の展示会では「二本松の菊人形」が有名です。その他にも秋になると全国各地で菊の品評会・展示会が盛んに行われています。

・「二本松の菊人形」(福島県二本松市)
二本松には、藩政時代から菊の愛好者が多く、昭和の初期から町に菊人形が飾られていました。昭和30年から「二本松の菊人形」として、10月~11月に霞ヶ城公園で開催されるようになりました。

・「新宿御苑菊花壇展」(東京都新宿区)
菊が皇室の紋章となった明治期に宮内省が開催した菊花展に由来します。現在は環境省が主催です。新宿御苑内の回遊式の日本庭園内に上家(うわや)といわれる建物を設けて、特色あふれる花々を独自の様式を基調に飾り付けた花壇が作られます。庭園を巡りながら、周りの景色や自然の趣の中で菊を楽しめるのが魅力です。毎年11月1日~15日に開催されます。

・「湯島天神菊まつり」(東京都文京区)
例年11月1日~23日に、大作りと呼ばれる千輪咲、大懸崖、盆庭を中心に古典菊の「江戸菊」「巴錦」等の菊花、約2千株が境内に展示されます。関東でもこれだけの規模の菊を見られるところは少なく、全国からの来場者で賑わいます。

・「東京都観光菊花大会」(東京都千代田区)
オフィス街の真ん中、日比谷公園で、大菊盆養・大菊切花・盆栽・江戸菊・懸崖・だるま・福助・実用花・ドーム菊など約1,300点の力作が一堂に会します。大正4年から開催され、質・量ともに我が国屈指と評される菊花展です。毎年11月1日~23日まで開催されます。

・「あかぼり小菊の里まつり」(群馬県伊勢崎市)
小菊の里つくりの会のボランティアが支える広大な「あかぼり小菊の里」は、峰岸山斜面に小菊や玉菊が約2万本、一面に並びます。赤城山、榛名山、妙義山、浅間山などを望む風光明媚な菊の里です。10月中旬~11月上旬の花の見ごろのみに開園します。

・「小江戸川越 菊まつり」(埼玉県川越市) 
川越大師喜多院境内で毎年11月に開催される「小江戸川越菊まつり」では、千輪咲きや小菊盆栽、だるま作りなど力作の菊をおよそ300点鑑賞できます。


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