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2016年07月15日

夏の涼味―心太(ところてん)と寒天

冷たい口当たりとのど越しの良い食感が、暑い季節にぴったりの心太と寒天。これらの歴史は古く、古来より日本人に愛されてきた日本の伝統食品。味わいも使い勝手もいろいろあります。


■心太

心太が大陸から日本に伝わったのは古く、仏教伝来の頃、精進料理のこんにゃくなどとともに製法が伝えられたと考えられています。奈良時代・平安時代には心太を売る店もできましたが、当時は上流階級のぜいたくな食べものでした。この頃は心太にからし酢をかけて食べていたということです。

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・心太の名前の由来。「心太」と書いてなぜ「ところてん」?

心太は、天草(てんぐさ)という海藻を煮溶かし、冷まして煮凝らせたもの。そこで、天草は煮凝る藻ということで「凝海藻(こるもは)」「凝海藻葉(こごるもは)」と呼ばれ、煮凝ったものは「こころふと」と呼ばれて「心太」という漢字が当てられました。その後、上の漢字を訓読み、下の漢字を音読みする湯桶読みから「こころてい」と呼ぶようになり、「ところてん」に変化したといわれています。

・心太の味は、甘い?すっぱい?

ところで、心太はさっぱりとした酢醤油で食べることが多いと思いますが、関西では黒蜜をかけて食べることがあります。奈良~平安時代、貴族の間では中国から輸入された砂糖が流行していたので、心太にも砂糖から作られた黒蜜を使って甘くして食べたのではないかといわれています。また、当時は砂糖も薬の一つとして扱われており、関西には薬種問屋が集まっていたので、一般にも浸透していったと考えられています。

・天草から作る心太の作り方

家庭では寒天から作る方法が一般的ですが、本格的に天草から作る方法をご紹介します。天草や心太突きは、ネットショップなどでも入手できます。ちょっと時間はかかりますが、味わいが全く違います。

【材料】
天草・・・25g
水・・・1.3リットル
酢・・・小さじ1

【作り方】
①天草を水で洗って鍋に入れ、水を加えて火にかける。
②沸騰したら酢を加え、吹きこぼれない程度の火加減でとろみが出るまで30~40分煮る。
③布きんを敷いたザルに流し入れ、煮汁が熱いうちに濾し取る。
④バットに注いで粗熱を取り、冷めたら(この時点で固まっています)さらに冷蔵庫で冷やす。
⑤心太突きに入る大きさにカットして突く。

ポン酢や二杯酢、黒蜜などお好みの味で、楽しんでください。


■寒天

江戸時代になって、京都伏見の美濃屋太郎左衛門が、偶然凍結した心太から結晶水が抜け出して寒天質が残ることを発見。寒天は、心太から生まれた日本の伝統食品といえます。「寒天」という名前は、日本にいんげん豆などを伝えた明僧、隠元禅師が名付けたといわれています。寒天は、料理やお菓子作りに使われるほか、オブラートや細菌培養基などにも用いられています。

・寒天の栄養

海藻の一種である天草などから作られているので、食物繊維やミネラルなどをバランス良く含んでいます。寒天の食物繊維は、腸内をきれいにして便秘・肥満・高血糖を防ぐ働きがあるといわれています。また、日本人に不足しがちといわれているカルシウムも豊富です。
おいしく食べて生活習慣病予防にも一役買ってくれるヘルシーな食品です。

なお、寒天とゼラチンは、よく似ていますが、実はまったく違うものです。
寒天は100%植物由来のものであるに対して、ゼラチンは牛などの動物の皮のなかの蛋白質から作ったもので、成分も製法も全く違ったものになります。

・寒天の種類

寒天は、天草やエゴノリなどの海藻の煮凝りを凍結脱水し、不純物を取り除いて乾燥させたもの。いわば心太のフリーズドライです。お湯につけると溶けて、再び凝固してゼリー状になります。形態によって、利用の仕方がちょっと違います。

【角寒天・棒寒天】
棒状または四角い形をしています。使う時は水に30分以上浸けて、やわらかくしてからちぎって使います。煮溶かすときは、水の状態から寒天を加え火にかけるか、水やだしを沸騰させた中に加え、かたまりが消えて透明になるまで煮溶かします。

【細寒天・糸寒天】
よく洗って、水に15分ぐらいつけ、ぎゅっと水気を絞ってそのまま使えます。歯ごたえがあっておいしいです。煮溶かす場合は角寒天と同様に扱います。一度固まると離水しにくいので伝統的な和菓子によく使われます。

【粉寒天】
粉末なので水で戻す必要がなく、鍋に水やだしとともに入れて煮溶かします。調味料は寒天が溶けてから加えます。


■寒天でおいしい料理&デザート

糸寒天は固めに戻してそのまま使えるので、サラダや酢の物に混ぜたり、みそ汁に入れるなど、毎日の食事に簡単に取り入れられます。コンソメスープを寒天で固めてジュレ風にし、料理にトッピングなんていうのも目先が変わって良いですね。

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寒天を煮溶かしたら、シンプルに固めて「心太」に。また、赤エンドウ豆と黒蜜をかけて「まめ寒」、さらにフルーツやあんこを加えて「あんみつ」など、寒天さえあれば和風デザートが家庭でもいろいろできます。牛乳・砂糖を入れて固めた「ミルク寒天」、フルーツ缶詰を汁ごと加えて固めた「フルーツ寒天」など、子どもが喜ぶデザートも手軽にできます。

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