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2016年10月11日

秋の味覚―栗

「栗」は秋の味覚の代表格。洋菓子店や和菓子店にさまざまな栗のお菓子が並び、甘党にはわくわくする季節です。栗ごはんや渋皮煮なども、ぜひ味わいたい秋の味覚です。

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■縄文時代から食べられていた栗
栗と日本人のつながりは古く、縄文時代にまでさかのぼります。青森県青森市にある三内丸山遺跡(約5,500年前~4,000年前)の発掘で、原始的な狩猟生活をしていたと考えられていた縄文時代の人々は、実は集落をつくって暮らし、その周りに栗やクルミの木の林を作って、その実を主食にしていたことがわかりました。福井県三方町の鳥浜貝塚(約12,000年前~5,000年前)でも、栗の木が整然と植えられていた跡が発見されています。栗は大事な食料であり、縄文時代から栽培されていたのです。弥生時代以降、雑穀の栽培や稲作が始まっても、栗は飢饉などに備える救荒作物として植えられてきました。

また、栗の実を干し、臼でついて殻と渋皮を取り除いたものを「搗ち栗(かちぐり)」といい、保存食として用いられてきました。臼でつくことを「搗つ」といい、それが「勝つ」に通じることから「勝ち栗」とされ、勝利を祈願する縁起物として戦国武将が戦の前に食べたといわれます。


■栗の種類と栄養
栗はドングリなどと同じブナ科の落葉木で、アジア、ヨーロッパの温帯地域を中心に分布しており、主に食用として栽培されているのは、二ホングリ、チュウゴクグリ、ヨーロッパグリです。

・二ホングリ
日本原生の野生種は柴栗(シバグリ)と呼ばれ、今も山野に自生しています。栽培種は果実が大きく、味も良いのが特徴です。有名な「丹波栗」は京都の丹波地方で採れる大栗の総称で、江戸時代には将軍家や御所にも献上されたそうです。

・チュウゴクグリ
「天津甘栗」としておなじみの栗です。小粒ですが、渋皮がむきやすく、焼き栗で食べるとおいしいです。

・ヨーロッパグリ
樹勢が強く大木になりますが、果実の大きさは二ホングリより小さめです。渋皮がむきやすいのも特徴です。街角のあちこちで焼き栗として売られており、お菓子や料理にもよく使われます。

・栗の栄養
栗の可食部はタネの部分にあたるので、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、亜鉛、鉄など私たちの健康に欠かせないミネラルが豊富に含まれています。また、葉酸などのビタミンB群や食物繊維も多く含んでいますので、栗は栄養的にも優れた食べものです。


■失敗しない栗のむき方と栗ごはん
栗といったら「栗ごはん」。新米で炊くとより一層おいしさが引き立ちます。栗をむくのに手間がかかりますが、炊きあがった時のおいしさはひとしお。うまくむければあとは簡単です。

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・栗は水に漬けてやわらかく
栗をゆでてからむくやり方もありますが、栗の風味を十分に生かしたいなら、皮をむく前に一晩、水またはぬるま湯に浸けておく方法がおすすめ。皮が少しやわらかくなってむきやすくなります。

・栗の皮むきのポイント
①栗のおしり(つやのない皮の部分で「座」といいます)を包丁で切り落とします。
②切り落とした部分から、手で外側の硬い皮(鬼皮)をつまむようにはがしていきます。
③渋皮が残るので、これを包丁でむいていきます。手を切らないように注意しましょう。

むいた栗はすぐに水につけてアクを抑えます。
これで栗むきは完了です。
急ぐ場合は、熱湯で3分ほどゆでてから、同様にむくと良いでしょう。

・栗ごはんの炊き方
①米2合、もち米1合をといで、30分位水に浸けます。
②①と栗10~15個(大きさによって半分に切るなどしてください)、昆布だし(カップ2)、塩(小さじ1)、酒(大さじ1.5)、みりん(小さじ1)を炊飯器に入れ、ふつうの水加減で炊きます。調味料は、好みで加減してくださいね。


■近代の鉄道発展に寄与した栗
栗の木は他の木材に比べて、耐水性や耐久性にすぐれているので、昔から家の屋根や床板、柱などに重用されていました。
明治時代になって鉄道が開設されると、枕木として利用されたのが栗の木です。鉄道が日本中に伸びていったこの時期、全国の莫大な量の栗の木が伐採されていきました。コンクリート製の枕木が登場するまで、日本の鉄道発展の陰には栗の木の多大な貢献があったのです。

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