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2016年10月28日

秋の味覚―柿

秋が深まり、柿の木に赤く色づいた柿の実がなっているのをよく見かけます。「甘いのかな?渋いのかな?」と気になったりしませんか。なぜ、柿は甘かったり渋かったりするのでしょうか。

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■渋柿が渋いのはなぜ?

柿には「甘柿」と「渋柿」がありますが、この違いは柿に含まれる渋み成分「タンニン」が口の中で溶けるかどうかによって決まります。
未熟なうちは甘柿も渋柿も「可溶性」タンニンを含んでいますが、甘柿は成熟するとタンニンが「不溶性」(水に溶けない性質)になるため、渋く感じません。一方、渋柿は成熟してもタンニンが可溶性(水に溶ける状態)のままなので渋く感じるのです。


■柿の種類

甘柿では「富有(ふゆう)」や「次郎」が有名です。
「富有」は、ふっくらと丸みがあり、皮はオレンジ色。やわらかくて果汁も多く、甘味が強いのが特徴です。
「次郎」は、平たく四角張った円形で種はほとんどなく、果実は甘く、ややかための歯ざわりです。静岡県原産で江戸時代後期から栽培されています。

渋柿では「平核無(ひらたねなし)」があります。「種なし柿」としてよく出回っている品種で「庄内柿」や「おけさ柿」とも呼ばれます。渋抜き後に生食用として出荷されるほか、干し柿にも利用されます。

【おいしい柿を選ぶポイント】
①へたがきれいで、へたが実に張りついていて、実との間に隙間がないもの。
②色むらがなく、全体が濃い柿色。薄い色のものは甘みが少ない。
③皮に張り、つやがある。皮にしわやシミがあるものは鮮度が落ちている。


■柿の渋抜きとは?

渋柿も渋抜きをすることで、甘くなって食べられるようになります。
一般家庭でもよく用いられているのが、アルコールを使った方法で、渋柿のヘタの部分にアルコール濃度の高い焼酎やブランデーなどを塗って数日間置いておきます。
また、干し柿にすると渋みは自然に抜けます。


■干し柿にもいろいろあり
柿は中国が原産で、国内では「古事記」や「日本書紀」に柿の名前が記されていることから、少なくとも奈良時代には渡来していましたが、どれも渋柿だったようです。干し柿は、平安時代の「延喜式」にも記録が残されており、この頃からすでに作られていました。

【干し柿】
柿の皮をむいて、縄がけして軒先などに柿どうしが触れ合わないようにつるし、乾燥させて作ります。1週間ほど干して表面が乾いてきたら、指で実を内側へ押しながら揉み、さらに1週間ほどしたら、もう一度柿をもみほぐして柔らかくなったら食べごろ。

【枯露(ころ)柿】
干し柿をさらに、低温・低湿の環境におくと、糖分が表面に出てきて結晶化し、白く粉をふいたようになります。これが「枯露柿」です。語源は、柿が天日によくあたるようにころころ位置を変えたからといわれています。

【あんぽ柿】
渋柿を硫黄で燻蒸して乾燥させる独特の製法で作られる干し柿で、水分が多くとろりとして、和菓子のように甘いのが特徴。贈答品などによく使われます。

柿はビタミンCやポリフェノールが豊富で、健康にも役立つ果物です。
旬のこの時期に思いっきり味わいたいですね。

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