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2017年02月28日

ひな祭りの行事食

3月3日は「桃の節供」です。本来は「上巳の節供」といいますが、ひな人形を飾り、女の子の健やかな成長を願う「ひな祭り」として親しまれています。
ひな祭りの味といえば、「菱餅」や「ひなあられ」、「白酒」などがあります。ひな壇に飾るとおひな様も喜んでいるように見えますね。また、「蛤の潮汁」や「ちらし寿司」も、お祝いのごちそうとしておいしいだけでなく、縁起よく、見た目も春らしくて華やかです。かわいく飾って、おいしく食べてひな祭りを楽しみましょう。

 

※「桃の節供」について詳しくはこちらをご覧ください。
【暮らしを彩る年中行事】五節供とは/上巳(じょうし)

 


■菱餅とひな祭りカラー
菱餅といえば現在は、緑、白、桃色と春らしいパステルカラーの3色が重なった菱型のお餅。もともとは古代中国で「上巳節」の時に食べていた母子草の餅がルーツで、母と子が健やかにとの願いが込められていたそうです。母子草とは春の七草のひとつ御形(ゴギョウ)のことです。
それが日本に伝わり、よい香りで邪気を払う力があるとされる、よもぎを使ったよもぎ餅になりました。ひな祭りによもぎ餅(草餅)を食べるのはこの名残りです。

 

雛あられ、菱餅、白酒.png

 

この緑のよもぎ餅に、江戸時代になって「菱の実」を入れた白い餅が加わりました。菱餅といえば菱の実の粉で作るものだったそうで、緑と白の2段重ね、またはもっと重ねて5段重ねの餅だったそうです。菱の実の形を模して菱型になったという説や、心臓の形にしたという説など菱型に関しては諸説あります。

 

そして明治時代に、くちなしを入れた赤い餅が加わって3色の菱餅になりました。
それぞれの意味は
・桃色(赤)...くちなしの実には解毒作用があるとされた。赤は魔よけの色。
・白......菱の実には血圧を下げる効果があるとされた。子孫繁栄、長寿、純潔。
・緑......よもぎには厄除け効果があるとされた。健やかな成長。
どの色にも健やかな子に育ってほしいという願いが込められていますね。

 

また、菱餅は色を重ねる順番で、春の情景を表現しているともいわれます。
・下から緑・白・桃色 → 雪の下には新芽が芽吹き、桃の花が咲いている情景
・下から白・緑・桃色 → 雪の中から新芽が芽吹き、桃の花が咲いている情景
こんな情景を思い浮かべると心がウキウキしてきますね。

 

この3色は「ひな祭りカラー」ともいえる、おひな様にピッタリの配色です。さらに菜の花を表す黄色を加え、より華やかにする場合もあるそうです。

 


■ひなあられ
その昔、ひな人形を持って野山や海辺へ出かけ、おひな様に春の景色を見せてあげる「ひなの国見せ」という風習があり、その時にごちそうと一緒に持っていったのがひなあられです。菱餅を外で食べるために砕いて作ったという説もあります。

 

このひなあられ、実は関東と関西では味も見た目もずいぶん違いがあるのです。

 

【関東のひなあられ】
米粒大の大きさで甘い味。米を爆(は)ぜて作ったポン菓子を砂糖などで味付けしたものです。江戸で流行った「爆米」(はぜ)という菓子をひなあられにしたという説や、釜に残ったご飯粒を干し飯にしてそれをあぶって作ったなど諸説あります。

 

【関西のひなあられ】
しょう油や塩味などで味付けしてあり、甘くありません。餅から作った、いわゆる「あられ」です。直径1センチ位の大きさで、もともと雛祭りに欠かせない菱餅を砕いて炒ったのが始まりとされています。

 

ひな遊びは平安時代の宮中や貴族たちから始まったもので、京菓子司(宮中御用達のお菓子職人)が発案したという話もあります。もともとは京都が発祥ですから、関西風が元祖かもしれません。節供に欠かせない餅(菱餅)を使っている点でも理にかなっています。

 


■桃花酒・白酒・甘酒
ひな祭りの飲み物といえば、童謡にも歌われているように「白酒」ですね。
もともとは、桃が百歳を表す「百歳」(ももとせ)に通じることから、桃の花を酒にひたした「桃花酒」(とうかしゅ)を飲む風習がありました。

 

江戸時代から「白酒」が好まれるようになり、ひな祭りといえば「白酒」が定着していきました。ほんのり甘い飲みくちですが、アルコール度数10%前後のお酒ですから、飲めるのは大人だけ。子どもにはノンアルコールの甘酒がおすすめです。甘酒には2種類あり、酒粕を使ったアルコールを含むものと、ご飯に米麹を混ぜて一昼夜ねかせて作るノンアルコールのものがあります。後者は別名「一夜酒」(ひとよざけ)ともいいますが、お酒には該当しないので子どもも飲めます。

 


■蛤(はまぐり)の潮汁
ひな祭りの食卓に欠かせないのが蛤などの二枚貝 です。旧暦の3月は磯遊びの季節なので、海の幸を供えました。
蛤などの二枚貝は、対の貝殻しか絶対に合わないことから貞操の象徴とされています。よい結婚相手と結ばれて、仲良く幸せに過ごせることを願っています。
椀に盛りつけるときには、開いた貝殻の両方に貝の身をのせるようにします。つまり、1つの貝に2つ分の身がのることになります。これを将来の幸せを祈っていただきましょう。

潮汁.png

 


■ちらし寿司
ちらし寿司そのものに、ひな祭りのいわれがあるわけではありませんが、上にのせる具材に意味があります。おせち料理などと同じように、えびは「長生き」、れんこんは「見通しがきく」、豆は「健康でまめに働ける」などの縁起のよい、祝いの席にふさわしい具材をのせましょう。緑のみつば、黄色の玉子、赤いにんじんなどものせて華やかな彩りに仕上げます。食卓に春を呼んでくれる「ひな祭り」の定番メニューです。

 

ちらし寿司.png

 


こちらもあわせてご覧ください。
【暮らしを彩る年中行事】五節供とは/上巳(じょうし)

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