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2017年05月01日

粽(ちまき)・柏餅

「こどもの日」「端午の節供」に欠かせない食べものといえば「粽」と「柏餅」です。なぜ、5月5日に「粽」や「柏餅」を食べるのでしょうか。関東と関西でも、どちらがより親しまれているか違いがあるようです。

柏餅とちまき.png

 


■粽の由来
「柱のきずはおととしの  5月5日の背くらべ
 粽(ちまき)食べたべ 兄さんが
 計ってくれた 背の丈
 きのうくらべりゃなんのこと やっと羽織の紐の丈 ♪」

ちまき.png

 

童謡「背くらべ」(作詞:海野厚、作曲:中山晋平)では、お兄さんが食べていた粽。粽は餅菓子の一種で、もち米・うるち米・米粉などで作った餅を、笹・真菰(マコモ)・茅(チガヤ)などの葉で巻いて長円錐形または三角形に形作り、イグサで縛ったものです。古くはチガヤの葉で餅を巻いたところから「ちまき」と呼ばれています。この粽を5月5日に食べるようになったのは中国の故事に由来します。

今からおよそ2300年前の中国に、屈原(くつげん)という政治家でもある詩人がいました。有能な政治家として国王の側近として仕え、その正義感と愛国心から人々から大変慕われていました。しかし、陰謀によって失脚し、屈原は国を追われてしまいます。国の行く末に失望した屈原は、汨羅(べきら)という川に身を投げ、死んでしまいます。その日が5月5日です。
その時の思いを綴った長編叙事詩「離騒(りそう)」は、中国文学の名作といわれています。

人々は屈原の死を悲しみ、命日の5月5日には供物を投げて供養しましたが、供物は屈原のもとに届く前に悪い龍に盗まれてしまいます。そこで供物のもち米を、龍が苦手だという楝樹(れんじゅ)の葉で包み、邪気を払う五色(赤・青・黄・白・黒)の糸で縛ってから川へ投げたところ、無事に屈原のもとへ届くようになったということです。

これが粽の始まりで、5月5日に粽を作って災いを除ける風習が日本に伝来しました。もち米を包んだ楝樹の葉については、他に茅、笹などの説もあります。また、粽に結んだ赤・青・黄・白・黒の五色の糸は、子供が無事に育つようにとの魔よけの意味を込め、鯉のぼりの吹流しの色となっています。

 


■柏餅の由来
粽が中国伝来なのに対し、柏餅は江戸時代に江戸でうまれた日本独特のものです。
柏餅を包んでいるのはもちろん柏の葉。柏は昔から神聖な木とされており、新芽が出ないと古い葉が落ちないので「子供が生まれるまでは親が死なない」、すなわち「跡継ぎが途絶えない」「子孫繁栄」に結びつき、端午の節供の縁起の良い食べ物となりました。

柏餅.png

ちなみに、柏の葉を外表に巻いているものと、中表(裏を外向け)に巻いているものがありますが、これは小豆あんのときは外表に、味噌あんなら中表に巻くなど、中身の違いを表しています。
また、蓬餅(よもぎもち)の蓬は昔から邪気祓いに用いられており、「端午の節供」は菖蒲や蓬で邪気祓いをする行事。邪気は香りの強いものに弱いのです。


このようにそれぞれの由来をもつ粽と柏餅ですが、江戸文化を反映して全国に広がった柏餅に対し、伝統を重んじる京文化圏では粽が伝承され、今でも関東では柏餅、関西では粽が親しまれています。

 


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