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食の歳時記・旬の味

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2017年06月01日

枇杷

初夏の訪れとともに店頭に並び始める枇杷。手でスルスルと皮をむくと、やわらかな果肉があらわれ、食べると上品な香りと甘みが口いっぱいに広がります。ハウス栽培のものは春ごろから出てきますが、露地ものは5月から6月の限られた期間だけ味わえる、季節感のある果物です。

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■枇杷の歴史と産地

枇杷は中国原産で、日本にも古くから伝わったといわれますが、それは実が小さく味の良くないものであまり利用されませんでした。その後、江戸時代に中国から大粒で味の良い品種が持ち込まれ、本格的に栽培されるようになりました。
枇杷は冬に花が咲き、実を結ぶので、冬季でも温暖な地域が栽培に適しています。このため日本での本格的な栽培地は千葉県より南の地域となっています。
主な産地は「茂木枇杷」で知られる長崎県と、「房州枇杷」の千葉県などです。


■枇杷の品種

【茂木】栽培地:長崎県・鹿児島県・香川県など
江戸時代、長崎の代官所で働いていた女性が、中国船から持ち込まれた大粒の枇杷を茂木の家に持ち帰って植えたのが今の枇杷栽培の始まりといわれています。実の大きさは50g程度とやや小ぶりですが、甘みが強く酸味が控えめな味で人気の品種です。

【田中】栽培地:千葉県房総半島・愛媛県・香川県・兵庫県など
明治時代、植物学者の田中芳男氏が長崎で食べた枇杷の味に魅せられ、種を持ち帰り、東京・本郷の自宅に植えたのが始まりで、冬でも温暖な房総半島での栽培を奨励しました。大粒で甘みも酸味も強い品種です。

【長崎早生】
「茂木」と極早生種の「本田早生」を交配してつくられました。寒さに弱いためにハウス栽培され、露地物より2か月ほど早く出回ります。

この他に早生系の「楠」、田中と楠を交配した「瑞穂」、茂木と田中を交配した「戸越」「九十九」などの種類があります。
また、土肥温泉で知られる静岡県土肥地域では、唯一白い果肉の「土肥枇杷」が栽培されています。小粒ですが、果肉がとてもやわらかく美味しい枇杷です。


■枇杷を選ぶ時のポイント

枇杷を選ぶ時は、3つのポイントに気をつけて新鮮なものを選びましょう。
① ヘタがしっかりしている
② 果皮に張りがあって色も鮮やか
③ うぶ毛と白い粉(ブルーム)が残っている

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枇杷は冷蔵庫で長時間冷やすと固くなるので常温で保存しますが、常温で置いておいても追熟はしないので、早めに食べるのがおすすめ。冷たくして食べたい時は食べる2時間位前に冷やすと良いでしょう。傷みやすいので押したりしないよう注意してください。


■枇杷の栄養

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枇杷の果肉のオレンジ色は、抗酸化作用のあるカロテノイドという色素によるもので、β-カロテン、β-クリプトキサンチンなどが含まれています。β-カロテンは、体内でビタミンAに変わり、粘膜などを守って抵抗力を高める働きがあり、β-クリプトキサンチンは、骨粗しょう症の予防になどに効果があるといわれています。他にも、抗酸化作用が期待できるポリフェノール一種であるクロロゲン酸なども含まれています。皮をむくと茶色く変色してしまうのは、このポリフェノールのためです。
また、枇杷は古くから果実だけでなく葉も薬として利用され、乾燥した枇杷の葉を煎じる枇杷茶は、免疫力を高める健康茶として飲まれていました。

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