2018年05月25日

春告げ魚

日本各地には「春告げ魚」と呼ばれる魚たちがいます。たとえば、春の季語にもなっている「鰆(さわら)」。「魚」偏に「春」と書くように、瀬戸内海を中心に春に旬を迎え、春の訪れを知らせる魚です。北国では、春告げ魚といえばかつては「鰊(にしん)」でしたが、不漁のため鰊に変わってメバルが春告げ魚と呼ばれるようになってきました。

■北の春告げ魚「鰊」と「メバル」

一昔前なら春告げ魚といえば鰊でした。北海道の西岸では、冬が終わり春の訪れを感じる頃になると産卵を迎えた鰊が大挙して集まり、鰊の大漁で港は活気にあふれました。
鰊を干したものが「身欠き鰊」で、冷蔵や冷凍の技術がない時代、大漁に獲れるものの日持ちしない鰊を全国各地に運ぶために有効な方法でした。北前船が北海道の昆布や身欠き鰊を関西方面に運び、その身欠き鰊を使った「鰊そば」は、今も京都の名物料理です。
現在は鰊の漁獲高が減少し、ほとんどはカナダやロシア、ノルウェーなどからの輸入になっています。

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鰊に変わって春告げ魚と呼ばれているのが「メバル」です。日本中で獲れる近海魚ですが、東北地方近海で早春から旬を迎えるのは「ウスメバル」。たけのこの出る季節においしくなるといわれ、3月から5月頃に多く出回ります。煮つけにすると最高においしいですね。


■西の春告げ魚「鰆」

瀬戸内海には、春になると産卵のために「鰆」がたくさんやってきます。その字のように春の訪れを告げる春告げ魚として親しまれています。鰆は1mを越えるサバ科の一種。ほっそりとした体形から「狭腹(さわら)」ともいわれます。成長とともに名前が変わる出世魚で、サゴチ、ナギ、サワラと名前が変わります。

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東海や関東では脂ののった冬場の寒鰆が人気ですが、関西では春鰆が旬とされ、産卵のために沿岸に集まり漁獲された鰆の卵や白子も堪能します。

身は淡白ながらほろりとした甘みがあり、どんな調理法でもおいしくいただけます。
おおすすめの料理2品をご紹介します。

・梅味噌焼
梅に味噌と酢少々を加えて梅味噌を作り、鰆の切り身に塗り込み、半日ほど漬けこんで焼きます。清々しい梅の酸味とほっこりとした鰆が大人の味わいです。

・塩麹焼
素材が持つうまみをぐっと引き出す塩麹。鰆の切り身の両面にまんべんなく塗って、1~2日漬けこみ、焼きます。鰆の甘みを堪能できておすすめです。


■日本中に春を告げる魚たち

鰊やメバル、鰆以外にも、「春告げ魚」と呼ばれる魚はいろいろいます。
兵庫県のイカナゴ、伊豆諸島のハマトビウオ、また、渓流釣りでは3月に解禁されることからアマゴやヤマメなども春告げ魚と呼ばれます。
地域や時代によっても春告げ魚は異なりますが、春先になるとぴちぴちと元気に集まってくる魚たちに、人は親しみを込めて「春告げ魚」と呼んだのでしょう。

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