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食の歳時記・旬の味

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2018年05月26日

茄子

夏は、茄子、きゅうり、トマトなど実のなる野菜の季節。これらは一年中出回っていますが、本来は夏から秋が旬です。水分も多く、からだを冷やす作用があって暑い時期にピッタリ。
夏野菜の主役のひとつともいえる茄子と日本人とのかかわりは深く、種類も豊富で、様々な料理で食べられてきました。


■日本各地に根づいた茄子

茄子は、インドが原産とされる茄子科の一年草で、日本には奈良時代に入ってきたといわれています。その後、日本の気候風土になじみながら、各地に様々な種類が生まれました。

一般によく出回っているのは卵型の「千両茄子」や少し細長い「長茄子」。揚げ田楽がおいしい大きな「米茄子」や、小さくて漬物などにぴったりの「小茄子」もあります。
伝統野菜や特産となっている茄子も多く、丸茄子の代表格「賀茂茄子」や、生でも食べられる水分たっぷりの「泉州水茄子」などがよく知られています。

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茄子は英語で"Eggplant"(エッグ・プラント:たまご植物)といいますが、もともと原産地周辺の東南アジアなどでは白や緑色のものが一般的で、白い卵に似ていたためでしょう。

日本で茄子の色は一般に「茄子紺」と呼ばれる紫色をしていますが、青茄子、白茄子も各地で栽培されていますし、イタリアなどヨーロッパからの輸入品種もあります。


■水分たっぷり、夏のからだを冷やす

茄子は、栄養的には特筆すべきものはありませんが、茄子紺の色はナスニンと呼ばれるポリフェノールの一種で、強い抗酸化力があるそうです。水分が多く、体を冷やす作用があるので暑い時期にはぴったりです。

「秋茄子は嫁に食わすな」ということばがありますが、解釈には諸説あります。おいしい秋茄子を憎い嫁に食べさせるのはもったいないという意地悪な説の他に、からだが冷えるので特に妊娠中の嫁には食べさせないほうが良いからという説もあります。
また、嫁は夜目=ねずみのことで、ねずみに食べられるなという意味だとする説もあります。


■茄子は料理の万能選手

茄子は、煮る、焼く、炒める、揚げる、蒸す、漬けるなど、どんな調理法でもおいしくできます。
味がつけやすく、特に油との相性が良いのが特徴です。
茄子そのもののおいしさを味わうなら「焼き茄子」がピッタリ。まるごと蒸し焼きにすることで茄子の甘みやうまみ、とろみが引き出されます。

煮ものにすれば、だしや調味料をよく吸っておいしくなり、揚げものにすると油との相性が抜群でコクが生まれます。煮ものにする前にさっと素揚げにするのもおいしくするテクニック。
漬物にしてもおいしい保存食になります。

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■茄子をおいしく食べるには?

どんな料理にも使える茄子ですが、おいしく食べるために注意したいポイントがいくつかあります。

★選ぶ時のポイント
・張りがあり、表面につやがあるもの
・ヘタの部分に棘がしっかりと立っていて触ると痛いもの
・ずっしりと重みがあるもの

★保存方法
茄子はもともと熱帯性植物で寒さに弱く、水分も蒸発しやすいもの。冷蔵庫に入れておくと、茶色くなったり硬くなったりして傷みが早くなります。袋に入れて冷暗所に保存し、なるべく早く使いきりましょう。それでも冷蔵庫に入れるときはラップでぴっちりと包みます。

★調理のポイントはアク抜き
水茄子など、一部を除いて一般的な茄子にはアクがあり、アク抜きをしないと新鮮なものでもおいしくありません。茄子を切ったままにしておくと切り口が褐色に変わってしまうのもアクのせい。切った後はすぐに水または塩水に浸けてアク抜きをします。
ただし、油で揚げたり、丸ごと焼いたりするとアクは分解するのでアク抜きは必要ありません。

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