日々の便り

2015年08月01日

夏の睡魔を吹き飛ばせ!東北三大祭りの起源は「眠り流し」

8月2日からは七十二候の「大雨時行(たいうときどきふる)」です。空がにわかに曇り夕立になったりする頃。ひと雨降った後は少しだけ涼しく感じたりしますね。
さて、東北地方も夏祭りのシーズンです。2日から始まる「青森ねぶた」、3日から始まる「秋田竿燈まつり」、6日から始まる「仙台七夕まつり」の3つをあげて「東北三大祭り」と呼ばれています。

ねぶたも竿燈も七夕も、7月7日の夜に川や海に穢れを流す灯籠流しや灯籠送りが変形したものと考えられています。七夕行事のひとつに、秋の収穫前に労働の妨げとなる睡魔を追い払うため、人形などの形代に睡魔を委ねて祓え流す「眠り流し」という習慣があり、これがさまざまな祭りになって発展しました。ねぶたは「眠たい」の方言の「ねぶたい」が訛ったものと考えられています。

「眠り流し」にまつわる風習は全国でもみられましたが、とりわけ東北地方で発展しました。青森の「ねぶた」や弘前の「ねぷた」の他、秋田の「竿燈まつり」や能代の「ねぶながし」も、「眠り流し」の行事といわれています。

さて、私事ですが昨年、念願かなって秋田竿燈まつりを見に行くことができました。

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竿燈まつりは、江戸時代に行われていたねぶり流し行事が起源とされ、この時代にすでに長い竿を十文字に構え、それに灯火を数多く付けて、太鼓を打ちながら町を練り歩くという秋田独自の竿燈の形ができていたそうです。ねぶり流しは、お盆を迎えるための一連の行事でもあり、厄よけ、みそぎ、五穀豊穣などの願いを込めて現在の竿燈の形になりました。

竿燈には「幼若」「小若」「中若」「大若」の種類があり、最も大きな「大若」は長さ12m、重さ50kg、提灯の数は46個。差し手は手のひらで差し上げたり、額や肩、腰へと移動させたりと自在に操ります。そのたびに竿燈が大きくしなり、提灯が揺れ、ろうそくの光が輝く姿は圧巻です。

ところが残念ながら昨年の祭り最終日は、祭り開始前に無情の雨が降り出しました。雨はやむ気配がありませんが、祭り最終日ということもあり竿燈がスタート。徐々に強まる雨の中、演技を披露しながら竿燈が進んできます。その中には「小若」のグループも多く、子どもたちはもうびしょ濡れ。小さな子の演技には年長の子がサポートしながら、みんな一生懸命です。真剣な表情で大人顔負けの華麗な技をカッコよく決めると、思わずかわいい笑顔に。土砂降りの中、小学生低学年くらいの子どもたちの本気の演技に、涙が出そうなくらい感動してしまいました。

竿燈の華麗な演技は、子どものころからたくさん練習するからこそ。厳しい練習を続けられるのは、きっとみんな竿燈まつりが大好きだからだと思います。現地で見て、初めてわかる祭のよさだなぁとしみじみ感じました。

【季節の行事】東北三大祭―青森ねぶた祭り
https://www.i-nekko.jp/matsuri_asobi/matsuri_natsu/2018-072510.html
【季節のめぐりと暦】七十二候
https://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/

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