2021年02月26日

花山葵・葉山葵(はなわさび・はわさび)

お刺身などの和食には欠かせない「山葵(わさび)」。鼻に抜けるツンとした辛みが特長ですね。山葵は根茎だけでなく、花(つぼみ)や葉にも独特の辛みがあり、おいしくいただくことができます。


■日本原産の香辛料「山葵」
山葵は、日本原産の植物で山地の渓流や湿地に自生します。飛鳥時代や平安時代の記録にもその名が残っており、江戸時代には有東木(現在の静岡県静岡市葵区)で栽培が始まったといわれています。現在は長野県、静岡県、岩手県が主な生産地となっています。
今は粉末やチューブ入りのおろしわさびなどの加工品があるのでとても便利ですが、実は西洋わさび(ホースラディッシュ)を使っているものが多くあります。日本原産の山葵は「本わさび」と呼ばれ、西洋わさびとは区別されています。


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■花山葵・葉山葵ってどんなもの?
通常私たちが山葵と呼んで食べているのはその根茎部ですが、その花や葉の部分も食用になります。

・花山葵
山葵は春に花を咲かせます。冷たく澄んだ渓流に生育する山葵の花は白い4枚の花びらが特徴的な可憐な花ですが、食用には花が咲く前のつぼみの状態の「花山葵」が用いられます。花山葵の旬は2月~3月。山葵特有の辛みや苦みがあり、シャキシャキとした歯ごたえが特徴です。

・葉山葵
山葵は根茎から次々と若い葉をつけながら成長していきます。その若い葉も山葵特有の風味があり葉山葵と呼ばれます。これも地物は3月頃からが旬となります。ハウス物は冬場に多く出回ります。


■花山葵・葉山葵は怒らせて辛くする
花山葵・葉山葵は、そのまま食べても辛みがあまり感じられません。山葵特有のさわやかな辛味は揮発性のからし油(イソチオシアネート)類にありますが、これは山葵の根をすりおろしたときに出る酵素の働きで生成されるものなのです。花山葵や葉山葵の場合は、揉んだり振ったり衝撃を与えることで辛み成分を生成させます。これを「怒らせる」といい大切なポイントになります。


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■下ごしらえのポイントとしょうゆ漬け
花山葵・葉山葵をよく洗ってから、湯通しし、塩で軽くもみます。密閉容器に入れておくと段々と辛みが出てきます。
花山葵や葉山葵はしょうゆ漬けがおすすめの定番。ごはんのお供、酒の肴としてもぴったりです。しょうゆ漬けにするときは、花山葵・葉山葵を食べやすい長さに切って漬けだれ(しょうゆ・酒・みりん・砂糖を合わせたもの)とともに密閉容器に入れ、強く振って「怒らせ」ます。一晩漬け置いて味をなじませます。しょうゆ漬けは日持ちがしますし、山葵には抗菌作用もありますが、冷蔵保存で1~2週間で食べきるようにしましょう。


■花山葵・葉山葵の選び方と保存方法
花山葵、葉山葵ともに都会のスーパーなどでは手に入りにくいと思いますが、もし、どこかで見かけたら貴重な春の味として買い求めてみてはいかがでしょうか。選ぶときは葉先までシャキッとしていて緑の色が鮮やかなものを選びます。
花山葵・葉山葵は風味が命の食材なので、新鮮なうちに食べましょう。やむなく保存するときは、湿らせたキッチンペーパーなどでくるみ密閉のできる袋に入れ、冷蔵庫で保存します。

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