紅葉狩り

秋が一段と深まると、野山が色づいた木々で赤や黄色に染め上げられます。
実は、こんなに美しい紅葉(こうよう)が見られるのは、世界中でも日本が一番とのこと。お弁当を持って「紅葉(もみじ)狩り」に出かけ、日本の秋を満喫してみませんか。

紅葉イメージ

紅葉狩りって、木を狩るの?

「狩る」といっても「ぶどう狩り」や「きのこ狩り」と違い、枝葉を切ったりはしません。「紅葉狩り」とは紅葉を観賞すること。
もともとは、平安時代の貴族の間で、紅葉を見物しながら宴を開き、その美しさを和歌に詠んで勝負する「紅葉合」が流行したことから、紅葉狩りが始まったそうです。狩猟をしない貴族の間では、草木を眺め自然を愛でることを狩りに例えたといわれています。「狩る」という言葉は「花や草木を探し求める」という意味なのです。
その後、江戸時代から庶民にも広がり季節行事として定着していきました。

紅葉する木の種類

「モミジ」とは、秋に葉が赤や黄色に色づく植物全般を指します。
紅葉というと、赤ちゃんの手の様に葉が5つに分かれた楓(かえで)を想像しますが、これは「イロハカエデ」というカエデ科の植物のこと。「イロハモミジ」「ヤマモミジ」「オオモミジ」など、何々モミジと呼ばれている木は全てカエデ科の植物で、日本には26種類もあります。このカエデ科の植物の紅葉が見事なので、「モミジ=カエデ」と思い、代名詞のようになっているのです。
カエデの他にも桜、ウルシ、コブシ、ブナ、イチョウなど、いわゆる、「落葉樹」と呼ばれる木が紅葉します。

モミジイメージ

葉が色づくのはなぜ?

紅葉は、気温が急激に下がることで、光合成によってできる葉の中のタンパク質が枝へと移動できなくなり、糖類が蓄積されて、緑の色素である葉緑素が壊れていくために起こる現象です。
代わりに増えていく赤い色素は「アントシアン」、黄色い色素は「カロチノイド」、褐色の色素は「フロバフェン」といいます。樹木によって色が違うのは、葉に含まれる栄養素が違うから。また、気候によっても色は異なります。
同じ色にならないところが、秋らしいグラデーションを生む所以です。

紅葉は日本が一番きれい

日本だけではなく他の国々でも紅葉は見られますが、落葉樹林がまとまっているのは、東アジアの沿岸部と北アメリカ大陸の東部、ヨーロッパの一部にすぎません。
地球の3割程が森林ですが、一番面積が広いのはロシア・アラスカ・カナダなどに広がる針葉樹林。次に広いのはジャングルなどの熱帯雨林です。
それに対して日本は、国土のおよそ7割が森林でさまざまな落葉樹が生えていますし、寒暖の差がありますから、いたるところで美しい紅葉を楽しむことができます。
日本の紅葉がとりわけ美しいといわれているのは、日本の気候風土のなせる技なのです。

秋をつかさどる女神、竜田姫(たつたひめ)

紅葉の名所でもある、奈良平城京の西に位置する竜田山。その竜田山の秋をつかさどる女神様が「竜田姫」です。伝説では、竜田姫は鮮やかな緋色や黄金の秋の草木の錦をまとった女神様とされていて、竜田姫が袖を振って山を染めていくのだとしていました。
万葉のころから、秋の木の葉が色づくことを染色にたとえて「染める」と言います。染色は、古代の女性の大切な仕事でした。当時は染物が得意であることは良き妻の条件だったそうです。また、「竜」が「裁つ」に音が似ているため、裁縫の神様としても信仰されています。
ちなみに、春をつかさどるのは、奈良平安京の東にある佐保山(さほやま)の「佐保姫(さほひめ)」とされ、東西・春秋の一対の女神として知られています。
また、夏をつかさどる「筒姫(つつひめ)」、冬をつかさどる「うつ田姫(うつたひめ)」もおられます。

竜田姫イメージ

こんなに怖いお話も・・・鬼女「紅葉」

信州は戸隠山に棲んでいたとされる伝説の鬼女が「紅葉」です。
山を降りては村の人々を餌食にするため、時の帝が平維茂(たいらのこれもち)に鬼退治を命じます。維茂が戸隠山に向かうと、美しい女たちが紅葉の下で宴を催していました。維茂は女に誘われるがまま酒宴に加わり、いつしか深い眠りに落ちてしまいます。この女たちこそ鬼女・紅葉とその手下。罠にはまった維茂を前に、鬼女が本性を現したとたん、維茂の夢の中に神が現れ、お告げとともに神剣を与えます。危機一髪のところで目を覚ました維茂は、神剣によって鬼女を退治し、戸隠山に平穏な日々が戻りました。

鬼女・紅葉を狩るから「紅葉狩り」という説もあるそうで、紅葉の魅惑的な美しさを象徴しています。また、このお話は『紅葉狩』という能の謡曲としても有名です。

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