日々の便り

2024年04月09日

七十二候「鴻雁北」。ちょっと切ない「雁風呂」とは

4月9日からは、七十二候の「鴻雁北(こうがんかえる)」になります。燕が南からやってくる季節には、北に帰っていく鳥もいます。雁もそういう渡り鳥で、春になると夏場をシベリアなどで過ごすため渡っていきます。そして、七十二候「鴻雁来(こうがんきたる)」(10月8日頃)の頃にまた日本に渡ってくるのです。

202404_gan.jpg

青森県津軽の外ヶ浜付近では、浜に打ち寄せられた木片を集めて風呂を焚く風習があったといわれています。これを「雁風呂(がんぶろ)」といいます。
伝説によると、秋に雁が海を渡って来るとき、海面に浮かべて休むための小枝を1本くわえて来るそうです。浜につくと小枝を落とし、次の春、また北へ帰るとき、同じ小枝を拾って帰るのだそうです。
ところが、雁たちが小枝を落とした浜には、春になっても拾われない小枝が残ります。それは冬の間に死んでしまった雁たちのもの。浜の人たちは供養のためにその枝で風呂を焚き、旅人たちに振る舞ったということです。じんわりと心に残るお話ですね。
「雁風呂」は春の季語や、落語の一席にもなっています。

【季節のめぐりと暦】七十二候

ページトップへ