日々の便り

2015年11月17日

七十二候「金盞香」。「亥の子祭り」と「炉開き」

11月18日から、七十二候では「金盞香(きんせんかさく)になります。「きんせんか」といっても、春に咲くキク科のキンセンカのことではなく、水仙をさします。「金盞」とは金の盃のことで、水仙の黄色い冠がまるで金の盃のようなので、こう呼ばれます。水仙が芳しい香りを放つ頃です。

pixta_7012282_S水仙.jpg

また、11月19日は旧暦亥の月(10月)の最初の亥の日にあたり、「亥の子祭り」が行われる地域もあります。起源は、古代中国の無病息災を願う宮廷儀式「亥子祝(いのこいわい)に由来するといわれており、多産なイノシシにあやかって子孫繁栄を願う意味もありました。日本ではちょうど収穫の時期でもあり、次第に収穫の祭りとして一般に広まったと考えられています。

「亥の子祭り」では、子どもたちが藁を束ねた藁鉄砲か、何本もの荒縄で縛った丸石を持って、藁鉄砲で地面を叩いたり、丸石で地面をついたりする「亥の子づき」を行います。これは土地の邪霊を鎮め、土地の神に力を与えて豊かな収穫を祈るというおまじないだといわれています。
「亥の子祭り」は西日本を中心に行われています。東日本では同様の行事に旧暦10月10日「十日夜(とおかんや)がありますが、内容は地方によっても違いがあります。田んぼを見守ってくれたかかしにお供えものをして、かかしにお月見をさせてあげる「かかしあげ」をする地方もあります。

亥は陰陽五行説で水にあたり、火災を逃れるとされるため、「亥の月の亥の日から火を使い始めると安全」といわれていました。茶の湯では、「亥の子」の日に夏向けの風炉をしまい、炉に切り替える「炉開き」を行う習わしがあります。「炉開き」は「茶人の正月」ともいわれ、初夏に摘んで寝かせておいた新茶を初めて使う「口切り」をして、「亥の子餅」をいただきます。

【季節のめぐりと暦】七十二候
https://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/
【季節の行事】亥の子
https://www.i-nekko.jp/matsuri_asobi/matsuri_fuyu/2018-102610.html
【暮らしを彩る年中行事】お月見
https://www.i-nekko.jp/nenchugyoji/otsukimi/

ページトップへ