2023年06月27日

アメンボ

梅雨の晴れ間に、池や田んぼ、雨上がりの水たまりなどでアメンボが浮いているのを目にすることがあります。長く細い脚でスイスイと水面を滑っていく姿は面白いものですね。アメンボはなぜ水の上で沈まずにいられるのでしょうか。もし、アメンボを見かけたら、しばし観察してみるのもいいですね。

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■なぜ「アメンボ」といわれるの?
アメンボは、カメムシ目アメンボ科の昆虫で、日本には約30種類のアメンボが生息しています。カメムシは嫌な匂いのする虫ですが、カメムシ目でもアメンボは危険を感じると飴のような匂いを出します。からだも細長いことから「飴ん坊」を語源とする説もあります。
アメンボには「ミズグモ」「カワグモ」「ミズスマシ」など様々な別名がありますが、本来のミズグモやミズスマシは別の昆虫の種類を表します。

■アメンボはなぜ水面に浮くの?
アメンボが水面を自由に動けるのは、からだが非常に軽いことと、特殊な脚があるからです。
アメンボの重さは約0.04g。単純計算ではアメンボ25匹でやっと1g、1円玉1枚分です。また、アメンボの脚は一見4本に見えますが、昆虫なので6本。脚には細かい毛が生えていて、体内から分泌される油分を脚に塗ることで水をはじき、からだが軽いこともあって水中に沈まないのです。春には交尾のため、雄と雌が重なっているときがありますが、それでも沈みません。
脚先の爪で水面の膜を突き刺してからだを固定し、移動のときは長い4本の脚をオールのように使って水面を進みます。

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■浮くだけではない、潜ったり飛んだり、アメンボの一生
アメンボは水に浮くだけでなく、潜水もできます。春になるとアメンボは水に潜って水草に産卵するのです。卵は10日ほどで孵化し、幼虫は脱皮を繰り返して夏には成虫になります。成長したアメンボの背中には折り畳まれた翅(はね)があって、生息地を変えるために飛んで移動することもできます。種類にもよりますが、アメンボの成虫は4月~10月にかけて活動し、寒くなると落ち葉の下などで冬越しをします。そして春になると水辺に戻ってきて交尾し、産卵して一生を終えます。

■ちょっと怖いアメンボの食事
アメンボは肉食で、水に落ちた小さな虫などをエサとしています。
例えば、ハエなどが水に落ちて表面張力で水面から離れられなくなると、アメンボはその波動を脚で感じ取り、獲物に近づきます。そして針のような口を差し込み、消化液を出して虫の体の組織を溶かす「体外消化」という方法で体液を吸い取ります。想像するとちょっと怖い方法ですね。
しかし、アメンボは稲を枯らす害虫ウンカも退治してくれるので、田んぼにとっては益虫といわれています。

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