日々の便り

2018年12月01日

七十二候「橘始黄」。日本の「来訪神」がユネスコ無形文化遺産に

12月2日から七十二候では「橘始黄(たちばなはじめてきばむ)」になります。橘の実が黄色く色づき始める頃です。橘は古くから自生している日本固有の柑橘類です。ミカン科の植物ですが、昔は柑橘類の総称として様々なミカン類を合わせて「橘」と呼んでいたようです。

橘は葉が枯れることのない常緑樹で、永遠の象徴とされ、その実は「不老不死」の実として「日本書記」にも登場しています。平安京の頃から京都御所紫宸殿の南庭に植えられ、「右近の橘」と称されるなど古くから珍重されてきました。その悠久性、永遠性が文化の永久性に通じることから、文化勲章のデザインに採用されたといわれています。

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さて、11月29日に日本の伝統行事「来訪神 仮面・仮装の神々」がユネスコ無形文化遺産に登録決定しました。2016年に無形文化遺産となった「山・鉾・屋台行事」に続いて再び、日本の伝統行事が世界に認められたことになります。「来訪神」とは、秋田のナマハゲのように、毎年決まった時期に異界から人間の世界に来訪し、怠け者を戒めたり、人々に幸せや豊穣をもたらしたりする神々で、仮面や仮装で異形の姿をした者が来訪神として行事を行います。

今回、「時代を超え、世代から世代へと受け継がれてきた年中行事」として、「男鹿のナマハゲ、吉浜のスネカ、遊佐の小正月行事、米川の水かぶり、能登のアマメハギ、見島のカセドリ、甑島のトシドン薩摩硫黄島のメンドン、悪石島のボゼ、宮古島のパーントゥ」の10件の行事が「来訪神」行事として無形文化遺産に認められました。過疎化や高齢化によって、伝統行事を引き継いでいくのが困難になりつつある現代、世界の注目を浴びることで再び活気を取り戻し、日本の素晴らしい伝統が脈々と引き継がれていくことを期待したいですね。

【季節のめぐりと暦】七十二候
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