秋鮭

鮭は9~11月に川に上るため、主に東北・北海道沿岸によってきた鮭を「秋鮭」「秋味」と呼びます。
鮭は川で誕生して海に下り、産卵までの数年間は北の海で成長し、産卵期の秋に再び生まれた川を上り、一生を終える代表的な回遊魚。なぜ、生まれた川に戻ってこれるのかは未だ謎ですが、川に遡上する直前の秋鮭は脂がのって、最高に美味しい状態です。メスは卵(筋子)をたくさん抱えており、筋子やいくらも旬の時期です。

秋鮭イメージ01

鮭の種類と呼び名

鮭は身が赤いので、赤身魚と思われがちですが、じつは白身魚です。あの赤は、白身魚特有の速筋で、エビやカニを餌にしているうちに赤くなっていきます。
鮭にも色々種類があります。「○○鮭」と呼ばれているものだけに限定すると、「銀鮭」「紅鮭」「白鮭」の3種類になりますが、一般的に日本で鮭というと「白鮭」になり、「銀鮭」「紅鮭」は日本の川には上りません。秋鮭も「白鮭」の一種です。
産卵シーズンの9~11月に東北・北海道沿岸に寄ってきたものを秋鮭、秋味と呼び、5~7月頃にとれる鮭は、季節外れという意味で時鮭、時不知(トキシラズ)と呼ばれます。

秋鮭イメージ02

鮭を使った郷土料理

秋鮭が大量に捕れる北海道や東北には、秋鮭を使った定番の郷土料理があります。

【鮭のちゃんちゃん焼】北海道
浜から上がった漁師さんが作る豪快な鉄板料理です。
炒めた野菜の上にバターで焼き色をつけた鮭をのせ、味噌・酒・みりん・砂糖・醤油の合わせ調味料で味付けし、蒸し焼きにします。
名前の由来は二つあって、一つは手軽にちゃんちゃんとつくれるから。
もう一つは、ちゃん(お父さん)が作るから、といわれています。

【はらこ飯(めし)】宮城県
昆布だし汁・酒・砂糖・醤油で鮭を煮ます。その煮汁でご飯を炊いて丼に盛り、煮た鮭と醤油漬けにしたいくらをのせ、白ごまをふっていただきます。
脂ののった鮭と、ぷちぷちしたいくら、米どころ宮城のお米が秋を感じさせてくれます。

【石狩鍋】北海道
北海道を代表するおなじみの鮭料理です。秋に獲れた新鮮な鮭を使うことから「秋鮭鍋」ともいわれています。でも意外に歴史は新しく、一般的に食べられるようになったのは戦後だそうです。
鮭の切身とあらをぶつ切りにして軽く茹でます。
昆布のだし汁に砂糖・味噌・塩・みりんを加え、野菜とこんにゃくと鮭を煮ます。
食べる前にいくらを加え、薬味に山椒の実を添えます。
野菜は本州の鍋と違い、白菜や里いもの代わりに、キャベツやじゃがいもを使うのが特徴です。

石狩鍋イメージ

鮭は平安時代からのごちそう

平安時代中期に、律令について記された「延喜式(えんぎしき)」に、越後の国から朝廷に納める税として、鮭が献上されていたことが書かれているそうです。
産地で加工されてから運ばれてきたようで、部位によって呼び名は様々。鮭、鮭子(さけこ)、内子鮭(こごもりざけ)、氷頭(ひず)、背腸(せわた)、鮭児(けいじ)、楚割鮭(すはやりざけ)などがあります。

・鮭子(さけこ):筋子あるいはいくらのこと。
・内子鮭(こごもりざけ):鮭の内臓を一旦抜いて洗ってから筋子を腹に戻し、濃い塩水に漬けて干したもの。
・氷頭(ひず):鮭の頭の軟骨。
・背腸(せわた):背骨の内側にある腎臓を塩辛にしたもの。別名、めふん。
・鮭児(けいじ):未成熟の若い鮭。

・楚割鮭(すはやりざけ):鮭の身を薄く切って干した鮭とばのようなもの。

平安時代からいくらを食べていたなんて驚きですね。

鮭子イメージ

鮭の栄養

平安時代の記録にも残っているように、昔から鮭は「捨てるところがない」といわれています。
牛肉や豚肉と比べ、低カロリー低脂肪で、たんぱく質は消化吸収がよく、子供・病人・高齢者に最適だそうです。
脳の活性化によいといわれているDNAもたっぷり。
注目すべきは、鮭の赤色の色素でもあるアスタキサンチン。この成分は、非常に強力な抗酸化作用を持っています。

秋鮭イメージ03

11月11日は鮭の日

新潟県村上市がPRのために制定したのが始まりで、「鮭」の字のつくりの部分「圭」を分解すると「十一十一」になることから、この日になったそうです。このころは秋鮭の最盛期にもあたるので、毎年、魚市場や魚連などでPRのイベントが行われています。

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