2022年09月12日

すすき

秋の七草のひとつ「すすき」は、高原や草原、河川敷や空き地など、日本全国で見られる馴染み深い植物です。すすきが秋風に揺れるさまは、美しくも少し寂し気で秋の風情たっぷりですね。十五夜の月見のお供えとしても使われ、秋の七草のひとつでもあり、古くから日本人に親しまれているすすきの豆知識をご紹介します。

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■すすきの特徴
すすきは、イネ科の植物で、地下茎から多数の花茎が立ち、秋になるとふさふさとした花穂をつけます。花穂の種子の先にある銀色に光る毛は「芒(のぎ)」と呼ばれ、風に乗って種子を飛ばします。冬には茶色く枯れて、また春になると地下茎から新芽が出てきます。
すすきにもいろいろな品種がありますが、最近は家庭でも楽しめるあまり大きくならない園芸品種なども増えているそうです。
十五夜には、月見団子の他に里芋やさつま芋、果物など秋の収穫物を供え、すすきを飾る風習がありますが、すすきは月の神様の依り代であり、その穂を稲穂に見たてて豊作を祈るという意味があります。

■すすきの名前、いろいろ
漢字では「薄」または「芒」と書きます。「薄」は、草むらの意味を持つ漢字に、日本ですすきという読み方を加えたもので、一面のすすき野原が思い浮かびます。それに対し「芒」は中国での表記。「芒」は「のぎ」の意味もあり、すすきの特徴を表しているといえます。
すすきには、花穂が動物の尾に似ていることから「尾花(おばな)」という別名があります。山上憶良が秋の七草として詠んだ歌の「萩の花 尾花 葛花 瞿麦(なでしこ)の花 女郎花 また藤袴 朝貌(あさがお)の花」の中の「尾花」です。
また、「茅(かや)」とも呼ばれます。昔の民家の茅葺き屋根は、「すすき」や「よし」、「ちがや」などのイネ科の植物の茎や葉を用いて葺いたものです。これらの植物の総称が「茅」で、茅葺きのために茅を育てていた場所を「茅場」といいます。都内の「日本橋茅場町」もその昔は茅の採集地で、茅を商う業者が多くいたのがその由来だそうです。
ちなみに北海道札幌市の「薄野(すすきの)」という地名の由来は、この地の開拓にあたった薄井龍之の名前にちなんだという説と、札幌一帯が茅野(特にすすき)だったからとする説があります。

■秋の絶景スポット「すすき野原」
すすきの穂が白や銀色、金色に輝くように揺れるすすき野原は秋の絶景スポット。北海道から九州まで、名所といわれる観光地がたくさんあります。
首都圏から行きやすく有名なのが、箱根の仙石原高原。台ヶ岳の斜面に広がる一面のすすき野原が絶景です。この景色を保つために、「山焼き」が初春に行われます。山焼きをしないでおくと、樹木が侵入し、美しい草原が維持できなくなるのです。山焼きも迫力満点の壮大な行事となっています。
※行事やイベントの開催は変更になることがあります。

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■江戸名物だった「すすきみみずく」
「すすきみみずく」とはススキの穂でみみずくを作った東京・雑司が谷の郷土玩具で、安産や子育て、健康のお守りとしても親しまれてきました。雑司が谷の鬼子母神詣でを描いた浮世絵などにも登場し、江戸名物だったことがうかがえます。
その由来にはこんな民話があります。鬼子母神の近くに貧しい母子が住んでいたが、母親が病気になっても薬を買うことも栄養のあるものを食べさせることもできず、娘はただ毎日、鬼子母神に母の快復を祈るばかり。ある日、娘の夢に神の化身の蝶が現われ、すすきの穂でみみずくを作って売りなさいと告げられた。お告げの通り、娘が作ったみみずくは評判になり、母の病気も良くなったというものです。
東京都豊島区の雑司が谷鬼子母神堂では、「すすきみみずく」が授与されてきました。最後の職人がいなくなり消滅が危惧されましたが、愛好者の方々が保存会を作り「すすきみみずく」作りを続けているそうです。

参考:日本玩具博物館サイト

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