2025年11月27日

牡蠣

濃厚な味とクリーミーな口当たりで、2枚貝の中でも抜群の人気を誇る「牡蠣」。生で食べるほか、牡蠣鍋にしたり、牡蠣フライにしたりと味わい方もいろいろあって楽しみは尽きません。そんな牡蠣のまめ知識をご紹介します。

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■古代人も食べていた「牡蠣」
牡蠣は、紀元前4000年頃にはすでに食用とされていたといわれています。古代エジプトやローマでは上流階級の人々に珍重され、紀元前1世紀には牡蠣の養殖も研究されていたといわれます。
日本では、「大森貝塚」などでシジミ、ハマグリなどと並んで牡蠣の殻が多く見つかっています。大森貝塚は縄文時代後期から晩期(およそ4400年~2300年前頃)の貴重な遺跡です。この頃は気候が寒冷化して食糧事情が悪化したため、寒冷化の影響を受けにくい海産物を多く食べていたのではないかと推測されています。

■牡蠣の名前の由来は
岩に張り付いた牡蠣を「かき落として獲る」ことから「かき」と呼ばれるようになったという説が有力です。また、「殻を欠き砕いて中身を出す」ことからという説もあります。
牡蠣の漢字の「蠣」にはもともと「硬い」「砥石のような」という意味があります。「牡」は、古代中国では牡蠣は全てオスだと考えられていたためといわれています。

■牡蠣のおもしろい生態
牡蠣は原則として雌雄同体。しかし、真牡蠣は雌雄異体で、最初はオスとして成熟し繁殖期を迎えますが、成長して体が大きくなると卵を多く産めるため、メスに性転換して産卵するという変わった特徴を持っています。短期間で変化したり、一生のうちに何回も性転換したりする個体もいるそうです。メカニズムはまだはっきり分からず研究が進められています。

■牡蠣が海をきれいにする?
牡蠣はエラで海水を吸い込み、海水中のプランクトンを漉し取り、餌にしています。その時、大量の海水を取り込み海水がろ過されることによって、海の環境を守る働きをしています。牡蠣1個が1日に濾過する海水の量は約200~400リットルにもなり、海水の浄化、水質向上につながっています。

■「真牡蠣」と「岩牡蠣」
牡蠣は二枚貝の一種で、世界中で約200種類。日本には約30種類いるといわれます。日本では、真牡蠣(まがき)、岩牡蠣(いわがき)が代表的な食用の牡蠣です。

最も多く流通しているのは「真牡蠣」で、一般的に「牡蠣」といえば真牡蠣を指します。ふっくらとした身と濃厚なうまみ、クリーミーな口当たりで、生食のほか、牡蠣鍋や牡蠣フライなど幅広く楽しめます。冬が旬で、全国各地で養殖されています。

「岩牡蠣」は夏に旬を迎える牡蠣。殻が厚く大ぶりで、身は真牡蠣よりも大きく、しっかりとした食感で、味は濃厚。主に生食で食べられます。ほとんどが天然もので、主に日本海側の地域で獲れ、夏の味覚として人気です。

■「海のミルク」と呼ばれるわけ
牡蠣は、その白い見た目と、牛乳のようにタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が豊富に含まれていることから「海のミルク」と呼ばれています。さらに健康の維持に欠かせない鉄、亜鉛、ビタミンB群、葉酸などの微量栄養素もバランス良く含まれています。「滋養食」としてもおすすめの食材です。

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■牡蠣をおいしく食べるには
牡蠣には生食用と加熱用があり、生食用には、細菌数が規定量以下という基準を満たしたものが販売されています。一方、加熱用は生食を想定していないので、しっかり過熱します。牡蠣鍋や牡蠣グラタンなど、暖かい料理で冬の牡蠣を楽しみましょう。

・牡蠣の選び方:殻付きの場合は、殻がしっかり閉じていて重いものを、むき身の場合は、身がふっくらとしてつやがあり、縁の黒い部分の色が濃いものを選びましょう。
・下ごしらえのポイント:塩と片栗粉で軽くもみ洗いした後、塩水ですすいで水気をふき取ります。

<参考> 水産庁ウェブサイト

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