2025年05月31日

にんにく

5月半ばごろから新にんにくが出回り始めます。にんにくは、独特の香りで料理の味を引き立ててくれます。食欲も刺激されて、疲れを感じるときに、にんにくたっぷりの料理を食べると元気が出るという方も多いはず。世界中で古くからスタミナ食として用いられてきた歴史があります。

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■国産は青森県、世界では中国が生産量トップ
にんにくは、ヒガンバナ科ネギ属の野菜で、原産地は中央アジアと推定されています。通年販売されていますが、旬は5月半ばから8月ごろにかけて。国産の約7割を占めている青森県産のものは6月中旬ごろからが旬になります。
青森県で主に生産されているのは、青森県福地村(現 南部町福地地区)原産の「福地ホワイト」という品種。青森の気候に適しており、大玉で一片が大きく、身が引き締まって雪のような白さが特徴です 。
海外では中国が世界のにんにくの全生産量の4分の3を占めています。

■にんにくの歴史
にんにくは、すでに紀元前3200年頃には古代エジプトなどで栽培・利用され、ピラミッド建設の際にも、労働者や奴隷が苛酷な労働に耐えるため、毎日にんにくを食べていたという記録がピラミッド内に記されているそうです。
日本には、平安時代に中国を経て伝来し、源氏物語にも「蒜(ひる)」として登場しています。にんにくは「野蒜(のびる)」と区別する為に、「大蒜(おおひる。生薬名ではたいさん)」と呼ばれていました。
「にんにく」と呼ぶようになったのは室町時代初期の頃といわれ、諸説ありますが、困難を耐え忍ぶという意味の仏教用語「忍辱(にんにく)」が語源というのが通説です。臭気の強い5種類の野菜を「五葷(ごぐん)」「五辛(ごしん)」と言って、僧侶は食べることを禁じられていましたが、僧侶たちがこっそり食べたことから、「忍辱」の語を隠語として用い「にんにく」になったという説です。

■にんにく特有の香りを生み出す「アリシン」
にんにくは、そのままではあまり匂いませんが、刻んだりすりおろしたりすると強い香りがします。これはにんにくに含まれる酵素アリナーゼとアミノ酸のアリインが反応して「アリシン」という成分に変化するため。
このアリシンは、ビタミンB1の吸収を促進するので疲労回復効果が期待できます。また、血行を促進する働きもあります。
元気の素のようなにんにくですが、食べすぎると刺激が強すぎて胃腸を痛める恐れもあります。特に生にんにくは刺激が強いので1日に1片くらいにしておきましょう。

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■芽や茎や葉もおいしいにんにく
にんにくは地下茎が大きくなったものですが、「にんにくの芽」や「葉にんにく」も人気の野菜です。
「にんにくの芽」は実際には「芽」ではなく、にんにくが花を付けるために伸ばす「花茎」と呼ばれる部分。「茎にんにく」ともいいます。香りが強すぎず加熱すると甘みも出るので炒め物などに。国産品は少なく、流通しているのはほとんど中国産になります。
「葉にんにく」は、12月~2月ごろ、地下茎が成長する前の葉や茎の部分で、柔らかく食べやすいのが特徴で、葉を採るための専用品種があります。

■にんにくの保存法
にんにくをそのまま放置しておくと風味が悪くなってしまいます。残ったにんにくは丸のまま新聞紙で包み、さらにポリ袋に入れて匂いもれを防ぎ、冷蔵庫で保存します。
使い勝手を良くしたい場合は、にんにくを1片ずつ薄皮もむいて「むきにんにく」にしておきましょう。ラップに包んだり保存用パックなどに入れたりして冷凍し、使うときは冷凍のまま刻みます。
同様に、おろしにんにくにして冷凍するのもおすすめです。すりおろすのは少し大変ですが、保存用パックに入れ薄く板状にして凍らせます。折って使えるよう箸などで筋目をつけておくと便利です。
また、にんにくのしょうゆ漬けやガーリックオイルなどにして保存しておくのもおすすめです。いろいろチャレンジしてみてくださいね。

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