日々の便り

2016年11月26日

七十二候「朔風払葉」。枯葉の色も美しい日本の伝統色

11月27日から、七十二候では「朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)」になります。「朔風」とは北風のことで、木枯らしが木の葉を吹き払う頃という意味です。
空気も乾燥してきました。風邪などひかないように注意しましょう。

ところで、地面に落ちた枯葉を見て、皆さまは何色と感じますか?日本には地味な枯葉にも「朽葉色(くちばいろ)」という風流な名前があります。平安時代からの伝統色で、黄染に浅い紅花染を施した、少し赤みがかった褐色だそうです。
しかも、色調によって「赤朽葉」「黄朽葉」「青朽葉」「濃朽葉」「淡朽葉」と様々に呼び分けていたそうですから、日本人の感性ってすごいですね!

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日本では古来より自然の豊かな色彩を生活の中にも取り入れていきました。十二単もそのひとつで、装束の表と裏の配色には様々なパターンが考案されました。それが「かさね色目」といわれるものです。春夏秋冬の色合いを取り入れたとても斬新でおしゃれなものばかり。現代のファッションや、インテリアなどの参考にもなりそうです。

秋から冬にかけてのかさね色目をいくつかピックアップしてみます。
かさね色目にも「朽葉(くちば)」があります。落ち葉をイメージした落ち着いた組み合わせで、表が濃紅(こきくれない)、裏が濃黄(こきき)です。「紅葉(もみじ)」は真っ赤な紅葉を思わせる組み合わせ。表が赤で、裏が濃赤色です。「枯色(かれいろ)」は冬枯れした草花を表すくすんだ色合い。表が淡香(うすこう)、裏が青の組み合わせです。どんな色なのか想像してみてくださいね。

また、伝統色は地味な色ばかりではなく、鮮やかな色もたくさんあります。それらが見事に調和するのは、天然染料の色だから。自然界の色が調和しているように、その色だけが飛び出してくることがないのです。
和室が落ち着くのも日本の伝統色が活かされているからだといいますから、身の回りで日本の伝統色を見つけてみるのも面白そうです。

【季節のめぐりと暦】七十二候
https://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/
【暮らしの中の歳時記】日本の伝統色
https://www.i-nekko.jp/chie/kotoba/2018-060613.html

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