独特の香りがあって、「にら玉」や「レバニラ」などに欠かせない身近な野菜「にら」。通年、出回っていますが旬は春から夏です。実は「古事記」や「万葉集」「正倉院文書」にも登場するほど、とても古くから人々の暮らしに関わってきました。にらの歴史や、知っておきたいおいしいにらの選び方などのまめ知識をご紹介します。
■古代から親しまれてきた「にら」
古事記に記されている「加美良(かみら)」という呪力を持つ植物は、にらではないかと考えられています。古来、香りの強い植物は魔除けや厄除けになると考えられていたので、にら独特の強い香りが邪気を払うと考えられていました。
そして、万葉集では「茎韮(くくみら)」、正倉院文書では「彌良(みら)」と記載されています。
その後、平安時代には「みら」が「にら」と転訛していきました。漢字では「韮」ですが、もともとは草冠がない「韭」で、にらが生え揃った様子を表しています。
■様々なにらの別名
にらの別名は多く、「蒜(ひる)」「みら」などは強い香りを示す名前です。
宮中で使われていた女房言葉では、ねぎが「一文字(ひともじ)」と呼ばれていたのに対し「二文字(ふたもじ)」と呼ばれました。
全国で日常の野菜として食べられてきたにらは、方言の呼び名も多くあります。新潟の「じゃま」、静岡・鳥取の「にらねぎ」、奈良の「とち」、沖縄の「きりびら」など様々です。
■にらは五葷(ごくん)のひとつ
にらの香りの源であるアリシンは、ビタミンB1の吸収を高めて疲労回復をサポートしたり、血流を改善したり、殺菌作用などのメリットがあります。古くは、にらの持つ強い香りが邪気を払うとされていました。
一方、精進料理では「五葷」のひとつとして避けられていました。五葷とは一般的に「ねぎ・にんにく・にら・玉ねぎ、らっきょう」などを指し、匂いが心を乱し、修行の邪魔になるとされていたのです。にらは「薬」でもあり、「禁忌」でもありました。
■おいしさいろいろ「葉にら」「黄にら」「花にら」
にらはヒガンバナ科の多年草で、数年にわたり株が生き続けます。冬の間、地上部は枯れていても春になるとまた芽が出てきて、1年に4~5回収穫でき、株が育つほど根元が太くなり、香りと甘みが増してきます。根元の太さはおいしいにらを見極めるポイントです。
にらの旬は4月から8月で、主として出回っている「葉にら」の他、「黄にら」「花にら」があります。黄にらは、遮光して栽培したもので、柔らかくて甘みがあり、にら特有の香りが抑えられ、中華料理の食材として利用されています。花にらは、にらの若い花茎でシャキッとした食感で香りも控えめ。専用の品種が栽培されています。
■おいしいにらの選び方
旬のニラは、見た目にも"張り"があります。見るべきポイントは
・根元が太い(株が充実している証)
・葉がピンと立っている
・葉先がしおれていない
・色が濃い緑で、つやがある
根元の太さは、香り・甘味・鮮度のすべてを示すサインです。葉先が黄ばんでいるものや、根元が細いものは避けましょう。
■にらの調理の注意すべきポイント
・にらは香りが命の野菜。切り口から香りが逃げるため、調理直前に切ります。
・根元が一番甘くおいしいところです。炒め物などは火を通しすぎると香りが飛ぶので、根元→葉先の順にさっと炒めるようにします。
・卵との相性が抜群なので、にら玉などがおすすめ。定番の餃子の具やレバニラ、おひたしなど、旬の味を存分に楽しみましょう。
・にらは、生でも食べられますが、刺激が強いので加熱して食べる方が安心です。加熱することで甘みが引き立ち、香りもほどよくおいしくなります。
2026年03月31日

