日々の便り

2023年02月14日

春の訪れを告げる、日本各地の「春告げ魚」

2月14日から、七十二候の「魚上氷(うおこおりをいずる)」に入ります。水が温み、割れた氷の間から魚が飛び跳ねる頃。春の足音を感じて、魚たちも活気づくのでしょうか。春先の薄く張った氷をさす「薄氷(うすらい)」は、早春の季語です。

日本各地には、春の訪れを告げる「春告げ魚」がいます。
その一つが名前からして、魚偏に春と書く「鰆(さわら)」。春の季語になっていますし、瀬戸内海を中心に春に旬を迎え、淡白ながらほろりとした甘みがあり、どんな調理法でもおいしくいただけます。

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北の春告げ魚といえば、かつては「鰊(にしん)」でした。春の訪れとともに産卵のために鰊が大挙して集まり、港は大漁で活気づきました。しかし、現在は漁獲高が減少し、鰊に変わって「メバル」が春告げ魚と呼ばれるようになってきました。日本中で獲れる近海魚ですが、東北地方近海で早春から旬を迎えるのは「ウスメバル」です。たけのこの出る季節においしくなるといわれ、3月から5月頃に多く出回ります。
他にも、兵庫県のイカナゴ、伊豆諸島のハマトビウオ、また、渓流釣りでは3月に解禁されることからアマゴやヤマメなども春告げ魚と呼ばれます。

地域や時代によっても春告げ魚は異なりますが、春先になるとぴちぴちと元気に集まってくる魚たちに、人は親しみを込めて「春告げ魚」と呼んだのでしょう。


【食の歳時記・旬の味】春告げ魚
【季節のめぐりと暦】七十二候

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