2019年02月12日

流氷

「流氷」とは、水面を漂流する氷のことで、海水が凍ってできた「海氷」や氷山、川の水が凍った「河川氷」も含まれます。北極海や南氷洋などで見られますが、日本近海ではオホーツク海の流氷が有名。冬の北海道ならではの絶景が広がります。

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■流氷はどこから来るの?

流氷に真っ白く埋め尽くされた北の海の雄大さは圧巻です。その流氷は、日本から約1000㎞も遠いロシアのアムール川の河口付近で誕生します。では、どのようにできるのでしょうか。
普通、海水は上下に対流しながら次第に冷えていき、海水の凍る温度である-1.8℃になってようやく凍り始めます。ですから海が深いほど全体が冷えにくく、凍りにくくなります。対流によって海が冷えきる前に春がやって来てしまうため、日本海や太平洋は凍らないのだそうです。

しかし、オホーツク海では、北の大地を流れてきたアムール川の淡水がオホーツク海に流れ込み、塩分の濃い重い層とは混じり合わず、塩分の薄い層ができます。シベリアからの風に冷やされた浅い層だけで盛んに対流が起きて水温が下がり、短期間で凍り始め、海氷が生まれます。この海氷が風に吹かれ、海流に乗ってしだいに成長しながら北海道の北岸へと南下して、流氷となるのです。
ですから、流氷は海水ほど塩辛くなく、塩分は0.5%程度で海水の1/6以下だそうです。


■流氷を観測

流氷に関しては、気象庁(札幌管区気象台)から「海氷・流氷に関する情報」が出されており、直近の海氷の衛星写真や海氷予想図などが公開されています。
海氷観測では、北海道沿岸からシーズン最初に流氷を目視した日を「流氷初日」、流氷が接岸して船舶が運航できなくなった最初の日を「流氷接岸初日」、沿岸から流氷が見られた最後の日を「流氷終日」といいます。過去の記録を見ると、網走沿岸では流氷が見られる期間が2か月以上あり、流氷観光の拠点になっているのも納得です。


■流氷で生きる生き物たち

氷の海にも生き物はたくさんいます。流氷ツアーなどでよく見られるのがアザラシ。運が良ければ、絶滅危惧種にもなっているオオワシやオジロワシの雄姿も見ることができます。
しかし、それだけでなく流氷はオホーツク海に命をもたらしているともいえます。

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海氷が凍る際に「アイスアルジー」という植物プランクトンが取り込まれ、これが食物連鎖の起点になっているのです。春になると爆発的に増殖した植物プランクトンをオキアミなどが食べ、それを小魚が食べ、それを大型の魚が食べ、その魚はアザラシなどの海獣や、オオワシなどの鳥類のえさになるのです。「氷の妖精」「流氷の天使」などと呼ばれているクリオネも幼年期は植物プランクトンを食べ、成長すると動物プランクトンを食べるようになり、やがてサケやマスのえさになります。流氷は豊かなオホーツク海を育てているともいえるでしょう。

地球温暖化が問題となっている昨今、流氷も減ってきているそうです。何とかこの自然が守られることを願わずにはいられません。

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