日本茶

「夏も近づく八十八夜・・・」と歌われるように、5月は茶摘みの季節、新茶の出回る季節でもあります。この時期のみずみずしい新芽を摘みとって作ったお茶が新茶(一番茶)です。八十八夜に摘まれた新茶を飲むと、長生きをするともいわれていますから、おいしく味わいたいものです。

日本茶イメージ

新茶がおいしいわけ

新茶には、新茶ならではのさわやかさと高い香りがあります。

また、その後に摘まれる二番茶・三番茶・四番茶に比べて、カテキンやカフェインが少ないため苦みや渋みが弱く、旨みや甘みの成分であるアミノ酸(テアニン)が多く含まれています。テアニンには、脳をリラックスさせたり、集中力を高めたりする効能があるそうですが、一定の時間太陽にあたるとカテキンに変質してしまうので、日光にあたる時間が短い新茶のほうがテアニンの含有量が多くなります。つまり、新茶は、ふつうのお茶より香りと味が良いばかりでなく、成分的にも優れているのです。

お茶の種類と特徴

煎茶(せんちゃ):陽にあてて育てた元気な生葉を蒸し、揉みながら乾燥させて作る一般的な日本茶。

煎茶イメージ

抹茶(まっちゃ):直射日光を遮断して育てた茶葉を蒸して粉状にして作る。きめ細かい濃厚な味。

抹茶イメージ

玉露(ぎょくろ):覆いをかけ、陽をあてないように育てる。最上級の日本茶で甘みがある。

玉露イメージ

番茶:伸びて硬くなった茶葉や茎から作る。甘みが少なくサッパリとした味。

番茶イメージ

ほうじ茶:番茶や煎茶を焙煎したお茶。カフェインやタンニンが少なく、クセのない味。

ほうじ茶イメージ

玄米茶:炒った玄米と番茶を混ぜる。スッキリとしたお茶と香ばしい玄米のブレンド。

玄米茶イメージ

1日のお茶の楽しみ方いろいろ

朝...目覚めの一杯は香り高いほうじ茶で。

昼...お弁当の友はやっぱり煎茶。

午後...抹茶スイーツを玉露とともに味わう贅沢なティータイム。

夜...こってりした料理の後は、番茶でスッキリ。

夜中...静かに読書しながら玄米茶。米のまろやかな甘味に癒されます。

お茶の買い方

お茶の味は好みもあるので、お茶屋さんで試飲して購入するのが一番です。毎年5月頃になると、店頭試飲コーナーができるので立ち寄ってみてはいかがでしょう。試飲は、目も鼻も冴えている午前中がおすすめ。夕方は疲れて味も香りもわかりにくくなります。

来客用は100g1000円ぐらい、家庭用は600~800円ぐらいが相場で、値段を目安に選ぶこともできます。

購入後は、茶缶ごと冷蔵庫で保管し、新茶は1週間で飲みきりましょう。

古くなってしまった茶葉の利用法

お茶の葉が古くなってしまっても、捨てるのはもったいないです。

アロマポットの上皿に湯と茶葉を入れ、キャンドルをセットすると部屋中にお茶のいい香りが広がります。

煎茶のおいしい淹れ方

①お湯をわかす

水道水は沸騰してからもさらに2~3分沸かし続けてカルキ臭を消します。

ミネラルウォーターを使うときは、「軟水」のほうが適しています。「硬水」はカルシウムやマグネシウムが多く含まれるため、お茶を淹れるのには向きません。

②お湯の温度を70~80℃くらいにする

わかしたお湯を人数分の茶碗に注ぎ、お湯を冷ますと同時に器を温めます。そのお湯を急須に入れると、お湯は約80℃前後になります。また、「湯冷まし」という、お湯を冷ますための器もあります。

★新茶の場合

80℃くらいの比較的高い温度で淹れると、新茶のさわやかな香りとほどよい渋みを楽しむことができ、70℃くらいまで冷ますと、豊かな旨みを楽しむことができるといわれています。新茶は独特の香りを前面に出すために仕上げの火入れが浅いので、お湯の温度が高いと、いっぺんに風味が強く出てきつい味になってしまい、逆に温度が低すぎると、香りが弱くなってしまうそうです。

③茶葉を入れる

急須に茶葉を一人あたり茶さじ1杯分入れます。そこへ前述の要領でお湯を入れ、ふたをして1~2分蒸らします。

★新茶の場合

茶葉を少し多めにするのがおいしく淹れるコツ。抽出時間も普通の煎茶などに比べて、約40秒~60秒と短い抽出時間で淹れます。

抽出時間を長くすると、渋みの成分が出すぎて、新茶の風味を損ねてしまうそうです。

④最後の1滴まで注ぎ切る

濃さが均一になるように茶碗に回し注ぎます。緑茶は、最後の1滴に旨みの成分が詰まっているといわれ、「ゴールデンドロップ」とも呼ばれています。

ですので、最後の1滴まで注ぎ切りましょう。そうすることで2煎目もおいしく淹れられます。

★新茶の場合

新茶の美しい色を目で楽しむためにも、湯呑み茶碗は中が白いものがおすすめ。よりおいしくいただけるのではないでしょうか。

2煎目以降のおいしい淹れ方

1煎目を淹れた後、急須をポンポンと叩き、茶葉を急須の真ん中に移動させ、中が蒸れないように蓋を開けておくと良いそうです。

そして2煎目は、お湯の温度を一煎目より高くし、抽出時間も短めにして、すぐに湯呑み茶碗に注ぎます。

3煎目は、さらに高い温度のお湯で、短い抽出時間で淹れると良いそうです。

「春の食」の記事一覧へ

ページトップへ

Menu

暮らし歳時記 Facebook