2018年05月27日

ぶどう

甘くてみずみずしく、栄養的にも優れたぶどうは秋の果物の代表格。産地や種類によって旬の時期は微妙に違いますが、8月~10月初旬ごろがおいしい食べごろのシーズンです。ぶどうは世界でトップクラスに生産量が多く、種類も生食用、ワイン用、干しぶどう用など含めて8000種以上といわれます。その多くはワイン用とされていますが、日本ではぶどうはそのまま食べることが多く、生食用のおいしいぶどうがたくさんあります。

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■ぶどうの生い立ち

ぶどうは栽培の歴史が最も古い果実で、紀元前3000年前には原産地のコーカサス地方やカスピ海沿岸で栽培が始まったとされています。ぶどうの原産地は雨が少なく乾燥した地域なので、そのまま食べると甘く、果汁の多いぶどうは、まさに自然の恵み。さらに、ぶどうを皮ごとジュースにすると、皮についている酵母で自然に発酵してワインができ、貯蔵もできることから、水の悪いところに暮らす人々にとっては欠かせないものでした。ローマ時代に改良が進み、その後さまざまな品種が生まれましたが、現在もこの「ヨーロッパ種」のぶどうが、世界で最も多く栽培されています。
この他、北米大陸原産で品質はやや劣るものの病気に強い「アメリカ種」、両者の流れをくむ「欧米雑種」などがあります。

世界で生産されるぶどうの7割以上はワイン用ですが、日本では栽培されるぶどうの9割が生食用です。日本でも山ブドウは昔から自生していましたが、奈良時代にシルクロードを経て中国からヨーロッパ種が伝わったとされています。

一説に、仏教の布教とともに社会事業も行い奈良の大仏の建立にも尽力した高僧、行基がぶどうの適地を求めて東方へ赴き、勝沼に種をまいたともいわれています。平安時代末期には、甲斐の国の雨宮勘解由が、山中でみつけた珍しい蔓草を持ち帰って育てたところ、数年後、粒の大きい良質なぶどうが実るようになった。それが日本最古のぶどう品種「甲州」の起源といわれています。


■ぶどうの種類

現在、日本で栽培されているものは、日本の気候にあわせてヨーロッパとアメリカの品種を交配したものが主です。たくさんの品種がありますが、生食用として出回っている代表的なぶどうをピックアップしてみました。

・巨峰
日本で作られた人気の品種。粒が大きく、熟すと黒紫色になり、果汁が多く甘みも強いのが特徴です。種なしもあります。

・デラウエア
アメリカから入った日本の代表品種。小粒ですが「種なしぶどう」として親しまれています。

・マスカット オブ アレキサンドリア
「ぶどうの女王」と呼ばれるヨーロッパの代表品種で、クレオパトラも食べたといわれています。日本では岡山県の特産品です。

・ピオーネ
巨峰とマスカットの交配で作られた大粒の品種。巨峰より大粒で味、香りも良く高級品種のひとつです。

・キャンベルアーリー
アメリカ生まれの品種。明治30年に導入されると広く普及し、キャンベルアーリーを基にたくさんの品種が生まれました。ジュースやワインの原料にもなっています。

・マスカットベリーA
日本で作られた品種。生食用以外に国産赤ワイン用品種として最も多く栽培されています。

・甲斐路
日本で作られ「赤いマスカット」とも呼ばれるヨーロッパ種。あかるい鮮紅色、マスカットのような香りと糖度が高いのが特徴。その名の通り主な産地は山梨県。

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■おいしいぶどうの選び方

粒が揃っていて色が濃く、皮に張りがあり、ブルームという白い粉がしっかりついているものを選びましょう。ブルームは、ぶどうの内部から分泌された天然のロウ物質で、雨水をはじき、病気から実を守る働きや、顆粒の水分が蒸発するのを防ぎ、新鮮さを保つ働きをしています。また、房から粒がポロポロ落ちるものは鮮度が落ちている証拠。しっかりと実がついているものを選びましょう。
試食するなら、ぶどうは房の上の方が甘いので、房の末端の一粒を食べてみて、これが甘くておいしければ、その房全体がおいしいということになります。


■ぶどうの栄養

ぶどうには、体内ですばやくエネルギー源となったり、脳の栄養源となったりするブドウ糖や果糖などの糖質が多く含まれています。
また、ポリフェノールのひとつで眼精疲労や視力回復に役立つといわれるアントシアニンが豊富。アントシアニンはぶどうの皮の色素成分で、色の濃いぶどうの方がたくさん含まれていますので、赤いぶどうや、赤ワインの方が効果が期待できそうです。
その他、ビタミン、鉄、カリウムなどが含まれています。

ぶどうの産地では、秋のレジャー「ぶどう狩り」も行われています。もぎたての秋の味覚を味わってみたいですね。

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