日々の便り

2021年10月23日

二十四節気「霜降」。「山粧う」紅葉の時季

10月23日は二十四節気の「霜降(そうこう)」。「寒露」の次にあたり、露の後は霜ということで気温はさらに低くなってきます。
七十二候でも「霜始降(しもはじめてふる)」に入ります。山里では霜によって草木や作物が枯れてしまわないよう、警戒する時期でもあります。家で育てている大切な花鉢なども、夜は室内に取り込んであげると良いですね。
霜は、冷気によって大気中の水分が結晶化し、草木の表面や地面が白くなる現象。地表の温度が0度以下になると霜が降ります。雪と同様、気体の水蒸気からいきなり固体の霜になるわけですから、霜は地上にできた雪ともいえます。

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ぐっと冷え込むこの頃は、楓や蔦などの紅葉が色鮮やかになっていきます。紅葉は、気温が急激に下がることで葉の中のタンパク質が移動できなくなり、糖類が蓄積されて、緑の色素が減っていくために起こる現象です。代わりに増えていく赤い色素はアントシアニン、黄色い色素はカロチノイド、褐色の色素はフロバフェンといい、木によって、また気候によってどの色が強く出るかは違います。一様に赤くならないからこそ、美しい色のグラデーションが楽しめるわけです。

紅葉に彩られた秋の山を表すことばに「山粧う(やまよそおう)」があります。花が咲き始め、鳥が歌う春は「山笑う」、青葉が茂りみずみずしい夏は「山滴る」、冬山の静けさは「山眠る」といい、四季折々の山をまるで生きているかのように表します。これは、11世紀の中国の郭煕(かくき)という画家のことばに由来しているそうですが、とても素敵な表現ですね。


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