日々の便り

2022年09月28日

虫たちが土にもぐって戸をふさぐ「蟄虫坏戸」。鮭は川に遡上し始める頃

今日から七十二候では「蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)」です。
虫たちが土にもぐり、入口の戸をふさぐ頃という意味で、冬ごもりの支度をする時期です。戸をふさいで隠れてしまった虫たちは、来年の春、啓蟄(けいちつ)の頃までお休みします。

さて、食欲の秋にぴったりの食材のひとつに「秋鮭」があります。
鮭は一年中、お料理によく使われる魚ですが、9月~11月に川に上るため、主に東北・北海道沿岸に寄ってきた鮭を「秋鮭」「秋味」と呼びます。川に遡上する直前の秋鮭は脂がのって、最高に美味しい状態です。メスは卵(筋子)をたくさん抱えており、筋子やいくらも旬の時期です。秋鮭が大量に捕れる北海道や東北には、「鮭のちゃんちゃん焼」「はらこ飯」「石狩鍋」など秋鮭を使った定番の郷土料理があります。

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平安時代中期の「延喜式(えんぎしき)」という書物に、越後の国から朝廷に納める税として、鮭が献上されていたことが書かれています。産地で加工されてから運ばれてきたようで、部位によって呼び名は様々。鮭、鮭子(さけこ。筋子やいくらのこと)、内子鮭(こごもりざけ)、氷頭(ひず)、背腸(せわた)、鮭児(けいじ)、楚割鮭(すはやりざけ)などがあります。昔から鮭は「捨てるところがない」といわれていますが、平安時代にいくらを食べていたとは驚きですね。


【季節のめぐりと暦】七十二候
【旬の味覚と行事食】秋鮭

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