日々の便り

2022年12月01日

一年を振り返る「師走」。三年ぶりに「秩父夜祭」開催

12月の和風月名は「師走」。子どもの頃は「先生も走るくらい忙しい時期」だから「師走」だと思っていましたが、実はこの「師」は「僧侶」のこと。昔は12月になると、どの家もお坊様を迎えてお経を読んでもらったため、僧侶が忙しく東奔西走するので「師馳す(しはす)」となり、それが変化して「師走」になったということです。

この他にも、年が果てるという意味の「年果つ(としはつ)」が変化したという説、四季が果てる月を意味する「四極(しはつ)」が変化したという説など諸説ありますが、どれも一年が終わることを感じさせる言葉です。

また、12月2日から七十二候では「橘始黄(たちばなはじめてきばむ)」になります。橘の実が黄色く色づき始める頃です。橘は古くから自生している日本固有の柑橘類です。ミカン科の植物ですが、昔は柑橘類の総称として様々なミカン類を合わせて「橘」と呼んでいたようです。
橘は葉が枯れることのない常緑樹で、永遠の象徴とされ、その実は「不老不死」の実として「日本書記」にも登場しています。平安京の頃から京都御所紫宸殿の南庭に植えられ、「右近の橘」と称されるなど古くから珍重されてきました。その悠久性、永遠性が文化の永久性に通じることから、文化勲章のデザインに採用されたといわれています。

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また、12月2日~3日には、昨年ユネスコ無形文化遺産に登録された「秩父夜祭」が三年ぶりに開催されます。「秩父夜祭」は秩父神社の例大祭で、京都祇園祭、飛騨高山祭とともに日本三大曳山祭のひとつとされ、国の重要無形民俗文化財に指定されています。「動く陽明門」ともいわれる4基の屋台と2基の笠鉾が曳き回され、秩父の夜を華麗に彩ります。最終日は花火が打ち上げられ、冬の夜空を色鮮やかに染め上げます。


【季節のめぐりと暦】和風月名
【季節のめぐりと暦】七十二候

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