2024年03月30日

土筆(つくし)

暖かい日差しが注ぐ土手や野原、あぜ道などで、春を待ち焦がれていたように、土筆が顔を出し、空に向かってすくすくと伸びています。土筆には花も葉もなく、細い筆のような不思議な形です。土筆は、いったいどんな植物なのでしょうか。
炒め物やつくだ煮などにして食べることもできるので、土筆採りも春の風物詩です。

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■土筆はスギナの子
土筆を抜こうとすると、根元からプツンと切れてしまいます。地中を掘ってみると、土筆の地下茎が地中をうねうねと伸びていて、そこからたくさんの土筆が伸びています。そして、土筆が枯れると緑色の草も伸びてきます。これが土筆の本体であるスギナです。
スギナはトクサ科の多年生草本。種子ではなく胞子で増える「胞子植物」でシダの仲間です。実は土筆という名の植物はなく、スギナの「胞子茎」で、繁殖の役割をしているのです。土筆の筆の先のような部分に並んでいるのは胞子のうが集まったもの。土筆の背が伸びると松かさのように開き、先端から胞子を飛ばし、役目を終えた土筆は枯れてしまいます。

■スギナの戦略と土筆
スギナは「栄養茎」として、春から秋にかけて栄養をためるのが仕事。スギナの地下茎には「無性芽(むせいが)」という小さなイモがついており、ここにためた栄養で芽を出すこともできます。スギナは胞子だけでなく、地下茎や無性芽からも子孫を増やせる植物なのです。そのため、一度繁殖すると除草するのはとても大変な植物ともいえます。
仕事を終えて、スギナの葉が枯れた秋の終わり、地中には小さな胞子茎、土筆の赤ちゃんが生まれます。冬の間を地中でじっと過ごし、春になると一斉に地上に顔を出して伸び始めるのです。

■スギナと土筆、名前の由来
スギナの名前の由来は、草の形がスギに似ているから「杉菜」と名付けられたという説や、節のところで継ぐことができたことから「継ぎ菜」と呼ばれるようになったという説があります。また、松葉を接いだように見えることから「接ぎ松」「接続草」という別名もあります。
土筆は、スギナに付いて出てくるので「付く子」、袴の部分で継いでいるように見えるので「継く子」、地面から突き出るので突出の意で突くを重ねた「突く突くし」に由来するなどの説があります。
「土筆」の字は、土に筆を立てたように見えることから当てられたといわれています。

■土筆は春の味覚

土筆は春の料理素材としても親しまれてきました。天ぷらや卵とじ、油いためや佃煮、胡麻和えなど、いろいろな料理で味わえます。土筆がたくさん手に入ったら、土筆の料理にチャレンジしてみませんか?

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・下ごしらえ
土筆は、穂先と袴がしっかりとしまっているものを選び、穂先が開いたものは避けましょう。取ってきた土筆は、水を変えながらため水の中で何度か洗って汚れを落とします。
洗った後、袴を取ります。袴を取り終えた後、もう一度ため水の中で洗いましょう。 

・ゆでてあく抜き
鍋にお湯を沸かし、小さじ1杯程度の塩と酢少々を加えます。土筆を入れたら箸で混ぜ、30秒ほどさっとゆでてざるに取ったら、すぐに水にさらします。さらす時間によって、土筆の苦みやえぐみが変わりますので、食べてみて確認するようにします。
食べてみてちょうどよい加減になっていれば水から上げて料理に使います。

あく抜きまで終われば、あとは好みの料理で楽しみましょう。
「土筆の卵とじ」は、土筆を食べたことのない人でも食べやすい一品です。鍋にだし汁、しょうゆ、みりん、砂糖を合わせて煮立ったら、あく抜きした土筆を入れて卵でとじれば出来上がり。
ほのかな苦みが、春を感じさせてくれますよ。

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