2026年06月06日

水芭蕉(みずばしょう)

雪解け水が満ちる湿原に、白く浮かぶ水芭蕉。まだ冷たい空気の中、清らかな姿を見せるこの花は、高原や北国に春の訪れを告げてくれます。中でも尾瀬では5月下旬から6月中旬にかけて、水芭蕉が咲き乱れる雄大な景色が広がります。

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■春の訪れを告げる水芭蕉
水芭蕉はサトイモ科ミズバショウ属の多年草で、本州中部以北から北海道などに自生しています。寒さに強く、暑さや乾燥に弱いので、湿原や湿地などを好みます。平地での開花は3月下旬から4月頃です。
「夏の思い出」に歌われる尾瀬の水芭蕉から夏の花と思われがちですが、尾瀬は標高約1400~1660mの高地で、雪解けが遅く、春の訪れもゆっくりなので、5月下旬から6月中旬が見頃となるのです。

■水芭蕉の白く美しい姿
真っ白なマントを羽織ったような姿が印象的な水芭蕉。花びらのように見える部分は花ではなく、葉が変形した「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれるもので、本当の花は中央の棒状の部分に密生しています。仏炎苞がその花を包み込むように立ち上がり、そっと守っているかのようです。水芭蕉の見頃は、この白い仏炎苞が美しい時期ということになります。
花の高さは30~50cmほどですが、開花後は葉が急速に伸び、1mを超えることもあります。その葉が、バナナなどの仲間「芭蕉(ばしょう)」の葉に似ていることから「水芭蕉」という名がついたといわれています。
種は水に浮いて運ばれ、川沿いや水がたまる場所で発芽し、3年ほどで開花します。地下茎でも増えるので条件が良ければ群生して広がっていきます。
なお、水芭蕉の葉や根にシュウ酸カルシウムが含まれ、肌に触れるとかぶれることがありますので注意が必要です。冬眠明けの熊が毒性のある水芭蕉を食べることがありますが、体内の調子を整えるためなど諸説あります。

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■水芭蕉の群生地といえば「尾瀬」
水芭蕉の大群生地として広く知られるのが「尾瀬」です。福島、群馬、新潟、栃木4県にまたがる高地盆地で尾瀬国立公園に指定されています。
「尾瀬ヶ原」「尾瀬沼」一帯は、火山からの噴出物によってできた火山性高層湿原で、特にその中心となる尾瀬ヶ原は、日本最大の山地湿原です。
尾瀬は標高2000m級の山々に囲まれ、1年の半分は雪に閉ざされており、雪解けは例年5月半ばごろ。遅い春が訪れると、広大な湿原は水芭蕉の大群生に彩られます。短い夏にはニッコウキスゲ、秋には黄金色の草紅葉に彩られるなど、高山植物の宝庫ともなっています。

■各地の水芭蕉の群生地
・秋田県「刺巻湿原」
田沢湖の南側に広がる「刺巻湿原」は、ハンノキ林が広がり、その根元に水芭蕉が一面に咲きます。国道や鉄道駅からのアクセスも良く、春の静かな湿原を歩きながら花を楽しめます。
・群馬県「片品水芭蕉の森」
尾瀬国立公園にも隣接する「片品水芭蕉の森」は、約5000株の水芭蕉が咲きそろいます。夜間にはライトアップが行われ、昼間とは違う幻想的な景色が広がります。
・福井県「取立山芭蕉群生地」
勝山市にある取立山の山頂近くに湿原が広がり、登山道沿いに約3000株の水芭蕉が点在します。山歩きとともに水芭蕉も楽しめる場所で、見頃は5月中旬から下旬です。
・長野県「奥裾花自然園」
千曲川の支流である裾花川の源流部にあり、「水源の森百選」にも選ばれた地域です。園内には約80万株といわれる水芭蕉の大群落が広がり、雪解けとともに咲きはじめ、ゴールデンウィーク頃から6月上旬まで、清楚な姿を見せてくれます。

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