2023年09月28日

いくら・筋子(すじこ)

寿司ネタとしても人気のいくら、ごはんのお供によく合う筋子、どちらも食感と濃厚な味が人気の魚卵の加工品です。いくら・筋子の親はサケ・マスで、産地にもよりますが、秋鮭が獲れる9月中旬頃から11月中旬頃が旬とされています。これからがおいしい季節ですが、そもそもいくらと筋子の違いは何でしょうか。

■いくらと筋子の違い
見た目では、いくらは粒がバラバラで、筋子は薄い膜に覆われてつながっています。違いはそれだけでしょうか。
筋子は、卵巣膜に入っている未成熟なサケやマスの卵が使われています。ですから、筋子の粒は小さく、軟らかくつぶれやすいのが特徴で、ひと口大に切って食べると、軟らかくまろやかです。取り出したばかりの筋子は「生筋子」とよばれ、塩漬けされて「塩筋子」に加工されるのが一般的です。塩筋子は日持ちがするので、一年中売られています。小さくちぎってごはんにのせて食べるとおいしく、酒の肴にもなります。
いくらもサケ・マスの卵で、生筋子の卵巣膜を取って卵をばらしたものです。産卵間近の卵は成熟して粒が大きく、卵殻も固さが増してつぶれにくくなっていますので、プチプチとした食感が楽しめます。大粒の方が好まれる傾向がありますが、小粒の方が味が濃厚という声もあります。いくらにする場合は、マスより秋鮭の卵の方がよいとされ、お値段も高め。いくらの塩漬けもありますが、約9割のいくらが醤油漬けに加工されています。


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■いくらの代表的産地「北海道」
秋になり、卵をお腹に抱いて産卵のために戻ってきたシロサケを「秋鮭」といいます。北海道の秋鮭漁獲量は全国の約90%に相当し、全国一位。水揚げのシーズンは、9~10月で、この時期がいくらや筋子の旬となります。北海道以外の産地としては、青森県、岩手県、宮城県、新潟県などが挙げられます。産地によって旬の時期が少しずれたりするので、12月頃まで漁が続くところでは旬の時期も長くなります。
国産の他に、北欧やアラスカ、ロシアなどからの輸入卵(冷凍)もあります。



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■おいしいいくらと筋子の見分け方
店頭でいくらや筋子を買う場合、どこを見て選べば良いでしょうか。
筋子の場合は、色が赤すぎる、黒すぎるのは避け、できるだけ血筋(血管)が入っていないものが、鮮度が良いと言えます。旬の時期の筋子は、膜が薄く軟らかくて口に残らないので口あたりが良く、おいしく食べられます。
いくらにするために生筋子を買う場合も同様に鮮度の良いものを選びます。粒が大きめで十分育っている方が、粒がほぐれやすいそうです。ただ、育ちすぎると粒が固くなり、食感が落ちるので注意しましょう。
いくらの加工品の場合は、ラベルを見て添加物などの使用がなるべく少ないものを選びたいですね。産地やマスの卵かサケの卵かも確認して、好みや予算に合ったものを選びましょう。サケのほうが大粒で味も良いといわれます。マスの卵は小さめですが、味は良く、価格もリーズナブルです。ほとんどが醤油漬けとなっていますが、中には「塩漬け」もあります。お好みでどうぞ。

■筋子からいくらを作る方法
北海道など産地では、家庭で手軽に自家製のいくらの醤油漬けが作られています。鮮度の良い生筋子が入手しやすいという産地ならではの理由もあるでしょう。
生筋子を塩入りのぬるま湯の中でほぐして外側の膜を取り除き、冷水で洗います。バラバラになった卵に醤油や酒を好みで混ぜ、冷蔵庫に入れて一晩漬け、味が馴染んだらでき上がりです。家庭によって調味料の種類や量は様々で、それぞれの家庭の味があるようです。
※正しく処理されていない生筋子の場合、アニサキスが紛れている可能性があるので、注意が必要です。

■いくらってどういう意味
昔、日本では筋子が多く食べられていて、いくらと筋子を区別する言葉もなく、「腹子(はらこ)」「ばらこ」などと呼ばれていました。
いくらが食用として広く知られるようになったのは大正時代になってから。そのころ、ロシア人がほぐしたサケの卵を見て「イクラ」といったことから、日本で「いくら」と呼ばれるようになったといわれています。ロシア語でイクラは「魚卵」や「粒々したもの」という意味の言葉。サケやマスの卵だけでなく、キャビアなど魚卵全般に対して使います。
「いくら」はロシア語がルーツだったのです。

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