2022年11月10日

海苔

海苔は、海苔巻やおにぎりなど、ごはんと共にいただくのはもちろん、和え物や日本蕎麦など様々な料理のおいしさを引き立ててくれる、私たちの食卓には欠かせない食品です。何気なく食べている海苔ですが、その歴史や生産方法、栄養など、意外と知らないことが多いかもしれません。今回は普段よく食べる四角い板海苔の豆知識をピックアップしました。

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■海苔は縄文時代から食べられていた?
縄文時代には、すでに海苔が食べられていたであろうと考えられていますが、海苔が食べられていたと明らかにわかるのが飛鳥時代の「大宝律令」。朝廷への年貢として記されています。当時の海苔は海から摘み取ったばかりの生海苔でした。平安時代の漢和辞典ともいえる「和名類聚抄(わみょうるいじゅうしょう)」には「甘海苔」「紫海苔」などの名称で記載があります。海苔は貴族たちが食べる高級品で、珍重されていました。
江戸時代になると江戸湾(東京湾)で海苔の養殖が行われるようになり、和紙の技法を使って、四角くて薄い紙のような海苔が作られるようになりました。これが浅草海苔の始まりといわれています。昭和になると海苔の研究が進み、採苗が人為的に行えるようになりました。生産技術も進歩して生産量が増加し、安定供給されるようになりました。

■「海苔」と「糊」の名前の関係
海苔とは、紅藻類・藍藻類・緑藻類の海藻で、水中の岩石上に生えるものの総称です。
「海苔」の語源には諸説ありますが、もともと「のり」という言葉は、粘り気がある様子を表す言葉だったため、海藻である海苔がヌルヌルと粘っていることから「のり」と呼ばれるようになったといわれています。あの、紙などを貼るときに使う「糊」と同じ語源です。

■海苔の産地とその条件
海苔の漁場の条件には、穏やかで遠浅な海であること、適度な潮の流れがあること、川から海苔の栄養となるミネラルが運ばれてくることなどが挙げられます。海苔は日本各地で生産されていますが、主な産地は、有明海、瀬戸内海、伊勢湾・三河湾、東京湾、松島湾・石巻湾です。

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■海苔はどうやって作られる?
海苔が育つ海水温度は約11~18℃で、それ以上でもそれ以下でも成長が止まってしまいます。養殖では、気温が下がってくる10月から翌年3月頃までの冬の間が育苗期間です。
海苔は約2週間で20cmくらい伸び、収穫となります。各産地でその年の最初に摘まれた海苔を「一番摘み」「初摘み」といいます。若い海苔で、柔らかく香りが良いのが特徴です。摘み取ったあと、また次の芽が伸びてきますが、採取回数を重ねるごとに硬くなります。
収穫は産地により11月中旬から翌年4~5月まで続きます。養殖が終わる春以降は、海苔の胞子がくっつきあって糸のような糸状体(しじょうたい)になり、夏の間は牡蠣の殻の中で培養され、来シーズンの海苔のタネとなります。
収穫された生海苔は細かくして水洗いされ、和紙のように抄き、脱水・乾燥を経て四角い海苔になります。漁業協同組合で検査を受け、等級が決まり、それをメーカー各社が入札によって買いつけるシステムになっています。落札された海苔は、各社でさらに乾燥作業をしてから、それぞれの商品へと加工されます。

■海苔の栄養とうまみ
海苔には、ビタミン・ミネラル・食物繊維などの栄養素が豊富に含まれており、「海の緑黄色野菜」ともいわれています。貧血防止や、胎児の正常な発育のために妊娠前からの摂取がすすめられているビタミン「葉酸」も多く含んでいます。
さらに、海苔にはうまみ成分である「グルタミン酸」「イノシン酸」「グアニル酸」が含まれています。海苔をそのまま食べてもおいしいのは、うまみの相乗効果でおいしさが増すからですね。
<参考>日本食品標準成分表2020

■海苔の保存方法
海苔は密封容器に乾燥剤とともに入れて冷暗所に置きます。冷蔵庫や冷凍庫でも保存はできますが、使うときは容器ごと室温に戻してから開封しましょう。一度容器や袋から出した海苔を戻すと他の海苔まで湿気ってしまうので、普段使う分だけ小分けにしておくのがおすすめです。


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