3月5日は二十四節気の「啓蟄(けいちつ)」。七十二候では「蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)」に入ります。「啓」はひらく、「蟄」は土の中にとじこもっていた虫(蛙や蛇)という意味です。大地が温かくなり、冬ごもりから目覚めた虫が穴をひらいて顔を出す頃です。ひと雨ごとに暖かくなり、日差しも春めいてきて、さまざまな生き物が再び活動しはじめます。
都会の中ではどんな虫が顔を出してくれるのでしょうか。ふと思いついたのが「アリとキリギリス」の寓話。この話の通り、アリは変温動物で寒くなると動けなくなるので、冬の間は地中の巣や木の根元など暖かい場所に集まって秋までに蓄えた餌を食べ、じっとして冬を越します。春になり気温が上がると再び活動しはじめます。夏の虫キリギリスは冬を越せない種類が多いので秋が深まると死んでしまいます。物語と同じですが、キリギリスが遊び好きの怠け者と思ってはかわいそうな気がしますね。
さて、土の中から顔を出すのは虫ばかりではありません。土筆(つくし)が顔を出し、野山でゼンマイや蕗の薹など、山菜採りができる季節がやってきます。
春の山菜には独特の苦味がありますが、実はこの苦味やえぐみが冬の間に縮こまっていたからだを刺激して、からだを目覚めさせ、活動的にしてくれるといいます。「春の料理には苦味を盛れ」ということわざもあるそうです。
早春にいち早く芽を出す「蕗の薹」、香りの高い「たらの芽」、葉も新芽も茎も全部おいしくいただける「山うど」、アクは強いがくるりとまいた姿がかわいい「わらび」「ぜんまい」など、最近はスーパーなどでもさまざまな山菜が手に入るようになりましたので、ぜひ味わってくださいね。
【季節のめぐりと暦】二十四節気
【季節のめぐりと暦】七十二候
【旬の味覚と行事食】春/山菜
【旬の味覚と行事食】春/蕗の薹
2026年03月05日

